これまでNIOについて2回に渡り書いてきましたが今回が最後になります。どうせNIOの株を買うことはないからと軽く説明するつもりがずいぶん長くなってしまいました。おさらいしてみますと、

  • 創業者のウィリアム・リー(前編)
  • 中国政府の支援(前編)
  • 商品(車)の完成度(後編)

といった点に触れてまいりました。今回は驚異的な成長性についてと投資対象としての面白みについて。

数字が裏付ける成長性

一時低迷していた株価もじわじわ上昇を続け、またNIO株に対する注目が集まってきています。この会社の株価が1年前には7ドルあたりだったことを考えるとその7倍近くとなる現在の株価50ドルは相当満足するべき水準でしょう。実際の収益はというと、2020年の売上高が24億9000万ドル最終損失は研究開発と設備投資の比重が高いアーリーステージの製造業らしくマイナス8億1000万ドルに上ります。

1桁台だった株価は66.99ドルの高値をつけたあと30ドル付近へ下落、現在は50ドルを回復。

今後NIOがどの程度EV市場を獲得できるかは、実は何度も書いているように中国政府の動きが関係しています。中国は2025年までに世界のEV市場の25%を占有するという目標を掲げており、その野望を実現するために走っているプレーヤーのひとつがNIOなのです。常に比較されるテスラはいまも中国市場で様々な障壁に直面していますが、NIOは既にSUVモデルでベストセラーを記録し、中国EV市場で25パーセントのシェアを握っています。第1Qの販売台数は2020年同期比で4倍以上を記録、5月末時点の納車台数はES8、ES6、EC6で約11万台近くに達しており、このままいけば2021年通期の目標である54億ドル(前年比117パーセント増)の売上高、期末時点で40億ドルを超える潤沢なキャッシュも確保できそうですし、2022年の黒字化も夢ではないかもしれません。

NIOの未来は安泰?

今回の三部作で書いたような様々な要素に目を向けてみると、NIOには確かにテスラを超えるようなポテンシャルが生まれそうです。ただしそれはテスラより優れているからというよりは、中国政府の政策上中国国内で大きなシェアを獲得できるであろうという理由になります。ですからこのままNIOが快進撃を続ければテスラにとっては中国市場で激しい競争を勝ち抜くのはなかなか大変だと思います。

一点だけ気になるとすれば、以前から開発に力を入れている自律運転に関する可能性です。

最新型の高級セダンET7ではAquilaと名付けられた自動運転システムが搭載され、InnovusionのLiDARセンサーと高解像度カメラでNIO自動運転サービスNAD)を実現するとされていますが、莫大な資金を投資した自律運転が手持ち資金の枯渇する前に果たして本当に実現するのでしょうか。

VelodyneやLuminarのLiDARほど密度が高くないように見える – Innovusionのサイトより
実際にLuminarのLiDARと見比べてみると一目瞭然

他にもバッテリーのサブスクリプションNIO BaaSなど画期的なアイデアは今後どうなっていくのか、初めての試みだけになんともいえないところですが、前述したとおりこのままの勢いが持続すれば数年の間にテスラを脅かす存在になる可能性は十分あります。

そうなると現在の株価50ドルは随分安く、現時点で516億ドルの時価総額は今後少なくとも数倍に膨れ上がるということになるでしょう。ただし、このままの勢いが持続すれば、のお話。

わたしは今後もNIO株を買いません。そしてこれからもテスラの株を長期間保有するつもりです。ちなみに中華EVで取り上げようと思っていたもうひとつの注目株XPEVですが、調べたところ自動車としても投資対象としてもたいして魅力が感じられなかったため、結局扱うのをやめました。

実はわたしが開発に関与した(というより最初から最後まで半年間ほぼ主導していた)ドイツの某高級車メーカーに収める製品がまもなく完成するためかなり忙しくなっています。また時間の合間を見計らって次のテーマを取り上げてみたいと思います。

→中華EVのNIOはテスラを超えるか・前編

→中華EVのNIOはテスラを超えるか・後編

3 thoughts on “中華EVのNIOはテスラを超えるか・最終話”

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です