今年2月に入ってベロダインが発表したファウンダーのデビッド・ホール会長職解任、その妻でマーケティング責任者のマルタ・トマ・ホールの役職解任のニュースによりVLDRの株価は2月22日に10.9%安と大きく下落、リバウンドはあったものの安値圏のまま今に至っています。この3~4ヶ月間に渡り大きなニュースと言えばこの訴訟の問題ばかりで、シリコンバレーを扱う大手弁護士事務所からの集団訴訟を呼びかけるニュースリリースが繰り返しヤフーファイナンスにも掲載されていました。この訴訟のタイトルは事務所によって多少違いますが「投資家証券詐欺集団訴訟」というものものしいもので、事務所のスケールによって10万株以上を保有する株主から、または1株保有から受け付けたりという異なる方針があるようです。

今のベロダインの株価はこの訴訟の影響が極めて大きく、これが解決しない限り株価に関しての先行きはまったくもって不透明と言わざるを得ないでしょう。では、この訴訟の内容はいったいどのようなものなのでしょうか。

数日間に渡り思い出した時に何度もいろんな資料を調べてみたのですが、実は訴訟の内容がいまいちよくわからないというのが正直なところです。

集団訴訟を呼びかけるポメランツ法律事務所によると訴状の中身はこうです。

被告(ベロダイン)は重大な虚偽および/または誤解を招く発言をしただけでなく、会社の事業、運営、および見通しに関する重大な不利な事実を開示しなかった。 具体的には、

・ベロダインの取締役の一部(要するにホール夫妻)が、会社の役員および取締役との取引において、敬意、誠実さ、誠実さ、率直さをもって行動しなかったこと。

・ベロダイン社が上記事項を調査中であったこと。

・上記の結果として、ベロダインのビジネス、オペレーション、および見通しに関する肯定的な声明は、実質的に誤解を招くものであり、合理的な根拠を欠いていた。

ベロダインは、取締役会長のデビッド・ホール氏、マーケティング最高責任者のマルタ・ホールについて、「両氏はそれぞれ、取締役会と会社のプロセスに関して不適切な行動をとり、敬意、誠実さ、誠実さ、率直さをもって運営できなかった」 とし、ベロダインの取締役会はホール氏を正式に非難したが、両氏はベロダインの取締役であり続けると発表した。

POMELANTZ LLP

ここまで読んでも結局よくわからないということに尽きます。問題のもととなっているベロダインの主張はとにかく創業者のホール氏と彼の妻の2人にいろいろ問題があり、取締役会が彼らを解任したのでよろしくということなのですが、調査に基づき厳正に対処したにもかかわらず2人が取締役の座を追われなかったのはなぜなのか?今後のビジネスは彼ら抜きでどうやっていくの?という大きな大きな疑問が投資家の間に残されたわけです。そりゃ株価は上がりませんよね。毀損された株主利益がいくらぐらいなのかは材料がなければ計算できませんが、株価20ドルが10ドルに下がり、時価総額が40億ドルから20億ドルに減少したことを考えるとそのインパクトは強烈です。

デビッド・ホールは真っ向から反論

これに対し激怒し反撃に打って出たのがホール氏。ここまで内紛、クーデター劇が公に明らかになった以上彼らも自分たちの主張を公開するしかありません。

6月3日に公開された取締役会宛の声明によると(以下要約)、

(ジョセフ・)ブラッド・カルキン会長、最高経営責任者アナンド・ゴパラン、取締役マイケル・ディー、取締役クリストファー・トーマスは、それぞれが株主の信頼を裏切り会社の重要な価値を破壊してきた。

ベロダインライダーの状況を好転させるためにはこれらの取締役を追い出すべきだ。

ゴパラン博士(現CEO)は2009年の投資家向けプレゼンテーションで、まるで自分が創業初期から4年半かけてこの技術を構築したかのように述べたが、ベロダインの事業は1983年から数十年を要しており、ゴパラン博士が入社した2016年には売上、利益を上げ100人以上を擁する工場でLiDAR製品を製造、出荷していた。逆にゴパラン博士がCEO就任後ベロダインの収益は減少している。

ゴパラン博士は重要なプロジェクトに貢献した50人のエンジニアの1人だったが、主要な課題、つまり製品配送に関する技術的でコストパフォーマンスに優れるソリューションを見出した中心人物ではない。

ブラッド・カルキンはただのゴパラン博士のはんこ押し係。辞任を求める。

Businesswire.com

ホール氏はこれ以前にもSPACから派遣された役員の退任を求める声明も出しており、その翌日にはベロダインが「根拠のない主張」と一蹴するやりとりがあるなど対立は深まっています。

双方の主張の正当性は調べてもわかりませんでしたが、現経営陣が株主の利益を考えていないことは創業者解任劇から株安、そして集団訴訟の流れをみてもわかりますし、ベロダイン以外にたいして実績のないゴパランがCEOをやってこれまでのように先進的なものづくりができるのだろうかという懸念は拭えません。

わたしの考えでは、今後の事業運営や株価のことを考えると現経営陣が退いて内紛が終わり、デビッド・ホールがトップに返り咲く(ホール氏自身は誰か有能な後継者がCEOに就いてほしいと表明している)のが最も明るい未来になるのでは、と思います。

Image: EpicTop10.com

4 thoughts on “ベロダインの訴訟について”
  1. 続報ありがとうございます。
    このゴタゴタはありながらもホームページをみるとSmart 50 Awardに選出されたりと、いいニュースがチラホラありますよね。一体どうなっているのでしょうか(笑)
    買い増しを考えていたのですが、もうしばらく様子を見たほうがよさそうですね。。
    またよろしくお願いします!!

    1. ハドウさん、もちろんいいニュースもいろいろあって、基本的な認識としてベロダインは実績も技術もあるので先々はある程度期待しています。訴訟の影響はどう出てくるか今の状態では皆目わかりませんが本質的な焦点は現経営陣のポテンシャルですね。ホール氏が言うようにゴパラン体制で財務内容も悪化しています。株価10ドルなんで伸びしろを考えたらじっくり待ってからでも乗り遅れることはないと思いますね。

  2. 自分もここの株買ってしまってて結構含み損が出てます。訴えられてるとは知りませんでした。マジで訴えたい気分です

    1. りおさん、含み損が出ているところからどうするかが正念場ですよ。そもそもハイリスクのSPACですし上場間もない長期前提の銘柄ですのでじっくり考えられてもいいんじゃないでしょうか。見る目が正しければ、水をやり、肥料を与え、厳しい気候にも耐えるうちにやがて実を結びます。

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