昨日はダウが大きく下げましたね。といっても過去数年間のチャートで見てみるとほんのちょっと下げただけで長期的な相場の方向性には何も変わりないというところだと思います。そして問題のLAZRですが、この2週間でチャートは悲惨な状況、このまま年安突入かという雰囲気になってきました。
7月9日SECに提出された資料により、ルミナー・テクノロジーズが過去5年に渡りパートナーシップを結んできたマサチューセッツのエンジニアリング企業Optogration Incを買収したことがわかりました。このニュース、昨日各メディアから配信されていましたが実は数日前に「なんでどこも触れていないんだろう」と不思議に思ったので記事を書いていたところだったのに逆に一歩出遅れてしまいましたね。
このオプトグレーションという会社は2004年にウィリアム・D・ウォーターズらにより共同設立され、主に高性能な光検出器を開発・製造しています。ウォーターズは1990年代から半導体研究デバイス処理システムのプロセスエンジニアとして経験を積み、1996年よりレシーバー、ディテクター(検知器)関係の技術開発を進めてきました。彼のこれまでの研究成果はパテントや論文など多数に及び、ルミナーもウォーターズそしてコーニング出身の光学系エンジニアであるウィリアム・R・クラークのノウハウが投入された検知器を採用しています。Optogrationの持つ技術についてもう少し説明したい気持ちはあるのですが、「自由空間におけるオプティカルコミュニケーション用の衝突電離エンジニアリングによるフォトダイオードアレイ」なんて書かれても誰もわからないでしょうからやめておきます。
買収コストなどは明らかにされていないということですが、1株あたり0.01ドルの条件であることから仮に1億株を買い取ったとしても日本円で1億ちょっとにしかなりませんので、6億ドル以上の現金(等)を持っているルミナーにとっては安い買い物だったのではないでしょうか。一方買収により得られる対価は非常に大きく、オプトグレーションの保有する資産を最大限に稼働させることで年間100万台から最大1000万台までの検知器を量産できるようになるとのこと。前職でM&Aも担当していた者として今回の買収内容を見ると、オプトグレーションは経営的にはそれほど成功していなかったのではないかと思います。ルミナーはキーデバイスを作れる技術と場所を確保し、オプトグレーションは仕事をくれる相手を確保したわけですね。
ルミナー・テクノロジーズは9年前にスタートした頃の研究開発型の企業から今や製品を量産する大型の製造メーカーに進化しているところです。今回のような重要なサプライチェーンが整備されることで来年から始まるLiDARの普及に大きくはずみがつくことでしょう。
現在株価が低迷しているように思えるルミナーですが、まもなく発表されるQ2の決算内容はおそらく順調そのものになるでしょうし(そもそもハードルが低すぎる)、理論値で適正価格と思われる15~17ドル付近なら買って間違いはないと思います。さすがに下がり過ぎた今の株価はずばり買いでしょう!ただし上記の通り、そして何度も書いている通りここは長期投資覚悟ですので、勝負をかけるような買い方はおすすめできません。
ルミナー・テクノロジーズの投資がほんとうの意味で実を結び始めるのはおそらく来年。そしてLiDARの市場予測を考慮すると2027年までには大きな答えが出ているはずです。それまで待てないと思われる方でも3年ほどの期間で十分なリターンが得られるでしょう。
[…] つい先ほど発表されたLuminar Technologies(LAZR)の第2四半期決算内容は予想通り至って順調そのもので、次の目標を引き上げる内容となっています。情報はいろいろなメディアから出ていますが、この記事を読んでいただければそれでじゅうぶんだと思います。 […]