キャタピラー社のLiDAR採用のニュースを受けてルミナーの株価は小幅高、このニュースに反応したブルームバーグがルミナーCEOのオースティン・ラッセルにインタビューを行っています。もう見たよ、という方もひととおり確認しておいていただくと良いかもしれません。

短い動画ですので書き起こすと以下のとおり。

Bloomberg:
株価はこのニュース(※キャタピラーがルミナー製品を採用、採掘現場の作業トラックにIrisを搭載予定)を受けて上昇しています。オースティン、なぜ産業分野に進出するという決断をしたのですか?

Austin:
この市場での展開は非常に理にかなっていると思います。ご存じの通り、今はボルボとの大型ローンチを終えたばかりで、当社のLiDAR技術を使った製品が生産に入り、わたしたちの技術を市場に送り出している最中です。

そして、その技術は産業用オートメーション市場にも活用できます。この分野は年間2,000億ドル規模の巨大産業であり、わたしたちにとって大きな第一歩となります。世界的な産業機械メーカーであるキャタピラーが、次世代プラットフォームの一環としてルミナーをパートナーに選んでくれたことは、自動車市場を超えてビジネスを拡大する上で合理的な選択です。

もちろん、これまで自動車市場向けに開発してきた同じ技術、製品、機能を活かしています。今後、工事現場などで使う大型のオフハイウェイ用トラックなどに応用され、大きな価値を生み出すでしょう。ただ、これは自動運転分野へのコミットメントを弱めるという意味ではなく、自動車業界においては今まで通り、いやそれ以上に力を入れているところです。

実際、今年だけで自動車分野におけるLiDARの生産・出荷は200~300%成長する見込みです。さまざまな自動車メーカー向けにグローバルに展開しており、スケールメリットを活かしてフルスピードで推し進めています。

またそれと並行して、このような産業用途でも活用していくことは非常に重要です。自動車分野が成長を続ける一方で、同じ「安全性と自律性」というミッションを、より価値の高い形で他の分野にも展開していくということになります。実際、産業市場では同じ製品を販売していても、自動車市場よりも数倍の価格で販売できる場合があります。

Bloomberg:
それは平均単価(ASP)が高いということですか?競争が少ないからでしょうか?投資家の間で御社や株価への懸念として最も大きいのは、中国企業との競争です。たとえば、メルセデスが中国の競合製品を採用したという報道もありますが、これらの話は事実なのでしょうか?

Austin:
まず言いたいのは、中国市場においてLiDARの導入が速いスピードで進んでいる点は確かに評価に値します。そして中国では、既にLiDARを搭載したクルマが100万台規模で出荷されており、中国企業が業績を伸ばしています。ただ、グローバル基準や技術力の面では、ルミナーは他に劣らないどころか群を抜いています

ご指摘された件(※もちろんHesaiとメルセデスのこと)では一部で誤解や報道ミス、憶測があったようですが、ルミナーとグローバル自動車メーカー(※もちろんメルセデスのこと)とのパートナーシップは非常に強力で、世界的な自動車メーカーの中でもリーディングポジションにあります。そして、わたしたちは今後も西側諸国、つまり自動車市場全体の約90%の生産量とそれ以上の価値を占める市場において、その強みを活かしていきます。

たとえばメルセデスに関しても、当初のパートナーシップから現在に至るまで、すべて順調に進行中です。実は彼らとは最近、正式に「HALO」という次世代製品の導入についても合意しました。これは前回の決算説明会でも触れた内容です。この「HALO」は現行製品Irisの次の世代にあたる技術で、さまざまな市場や業界にまたがって標準化を進めることが可能になります。

ところで、メルセデスの話題が出ましたが、関税や生産体制の話にも触れたいと思います。LiDARの生産を今後200%以上拡大していく計画ですが、その一部はメキシコでも生産しています。現政権下での政策がそれにどう影響するかについては、関税など多くの要素が関わっています。たしかに、メキシコからの調達はホットな話題ですが、当社では現在、メキシコで作られた部品を使って、サウスカロライナで生産されるボルボ車向けに供給しています。

ルミナーのグローバルサプライチェーンには独自の強みがあり、メキシコ、タイ、台湾(提携先はTPK)など各地に分散させているので、どのような政策の変化があっても柔軟に生産・供給の拠点を切り替えることができる体制が整っています。様々な流動的要素も今後の生産計画の一部となって組み込まれており、しっかりと体制を整えていく予定です。

そして、車両に対する関税について今日発表された新たな関税措置があることは承知しています。しかし現実的には、わたしたちの生産の大半はアメリカ市場向けの車両に使われるものなので、今回の関税の影響はほとんど受けないと考えています。


キャタピラーは既に3つの大陸で自律運搬トラックを3億3000万キロ以上走行させてきた実績があるとのことですから、LiDARの採用は早期に浸透していくのではないでしょうか。採掘現場での自律走行トラックの活躍ぶりはこの動画を見ていただけるとわかります。

自律走行トラックの実績については2022年から急激に数値が伸びており、具体的には世界中で2年間におよそ2億キロもの走行が記録されています。

おそらくルミナーはもうコマツなどにも営業をかけているものと思われますが、危険で人手が必要、そして一般車両が行き来しない場所での作業には自律走行車両が普及し、LiDARの活躍する分野も徐々に拡大していくに違いありません。

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