昨年6月後半にナスダックで取引が開始されたポールスター($PSNY)が3月に入り決算発表を行いました。徐々に資産を安全性重視にしていきたいのでスタートアップへの投資は今後あまりしたくないとは思っているものの、我が子を見守るような気持ちもあり当面動向をしっかり確認していきたいと考えています。最近「自分の持ち株に恋をしてはいけない」というような格言をツイッターで見かけましたがわたしにとっては「なに言ってんの???」。そんなポールスターの最初の通期決算はどうなったのでしょうか。これも皆さんだいたいご存知だと思いますので、把握しているよという方は流してしまってください。

CNBCのインタビューより

メディアでの取り扱いがわかりやすいかもしれませんので、次の動画を貼っておきます。そして全部見るのは面倒だとも思いますので次に要約していきます。

コメント欄はどうでもいいものしかないので無視してOK

さて、インタビューをざっくりまとめますと、

2022年に5万台の車を販売する目標を達成し、収益は急速に増加中だが運営損失はまだ大きい。
今後数年間ニューモデルを追加し続ける予定。
2023年には8万台の車を販売する計画で、達成できれば損失を大幅に削減可能。
2023年大きく変化するのはPolestar2だけから2/3/4と3モデルに拡大。
高級EVという独特のポジションを確立していく。

といった内容でした。

まず、5万台のセールスは前年比60%増で、まだまだ絶対数は少ないものの達成した数字は立派なものです。付け加えておくと当初の計画では2022年に65,000台の販売を見込んでいましたが、半導体不足の影響などで昨年春に早々と計画の下方修正を発表したという経緯もありました。ただポールスターのラインナップはわずかに2車種しかなく、そのうちPolestar1は既に販売を終了していますからほぼ単一車種でよくやってきたなというところですね。そしてPolestar1と2の2車種だけで10万台のポールスターが路上に出ているということになるそうです。2023年の販売目標は昨年比60%増の80,000台。これで親会社でもあるボルボの販売台数10分の1(2022年は約61万台、2023年は大幅に増加見込み))を超えてきます。つまりボルボは派生ブランドによりブランド全体の価値を1年で10%以上高めることに成功するというわけ。

参考までにライバルメーカー2社の動向を書いておくと、納車ベースの数値で
Rivian 20,332台(生産は24,337台)
Lucid 4,369台(生産は7,180台)

とかなり大きな差があることがわかります。Lucidはちょうど1年前の発表で元々20,000台だった生産目標を12,000~14,000台へと大きく引き下げ、その後さらに6,000~7,000台へと再修正しましたが、2度の下方修正後の数字をようやくクリアしたという結果に落ち着きました。

WSJの記事では、この2社が生産の遅れによってキャッシュフローの見通しが厳しくなっている、ということが指摘されていましたが、それも当然でしょう。既存のICE(内燃機関)メーカーは「もう終わり」などと過激なことを言ってきたEVファンやジャーナリストは土下座してほしいものです。ものづくりを知り尽くし莫大な資金力を持つ自動車メーカーを舐めすぎですね。新興メーカーが1億ドルの調達で一息つく間に彼らは自らが望めば100億ドル単位の資金調達さえできてしまうのですから。もちろんスタートアップ企業にも技術革新のため頑張ってほしいとは思っていますが既存メーカーはもはや時代遅れというのは考えが甘いということです。

Rivian、LucidとPolestarの比較として、前者がアメリカ市場でしか売られていないのに対し、ポールスターは世界の27カ国、158ものディーラー(ボルボのディーラーも拠点になっている)で販売されていて、より広いマーケットにアピールしているところも非常に大きなポイントです。既に販売・サービスのネットワークが各国にあるので展開スピードの面で先行しているのは明らかです。

それにしてもこうやって新興メーカーについて考えれば考えるほど、テスラのすごさがよくわかります。イーロン・マスクの頭脳とリーダーシップですね。テスラは低価格車の開発も猛スピードで進めているということなので、テスラ株、このままもう少し下がったら結構買おうと思います。

2023年のハイライト

まずPolestar2のモデルチェンジによる大幅な進化が挙げられます。わたしが唯一どうしても受け入れられなかった格子状の無骨なフロントグリルが根本的に変更され、Polestar3、5と共通のスマートゾーンと呼ばれる機能性を持つグリルレスデザインに生まれ変わります。またバッテリー変更により航続距離が伸び、大きく利便性が高まりました。

フロントのデザイン変更でかなり洗練度↑↑↑

もう一つの変化は「イノベーションへの移行」です。これはCEOのトーマス・インゲンラス氏の言葉によると、Googleとの合意による新機能追加、そしてルミナーとのパートナーシップ拡大によりLiDAR搭載モデルが増えた、ということです。

Polestar3、注文できます(ただし日本以外)

そして今年の非常に大きなトピックとして忘れてならないのは、Polestar3の生産開始ですね。今年半ばから予定されているという初期の生産は中国でスタートし、来年には生産拠点をノースカロライナ州の美しい港湾都市チャールストンにも増やす計画になっています。おそらくこのPolestar3が起爆剤となり、売上が大幅に伸びていくものと考えられます。

レオ様のツイートを引用させていただきました~

ポールスターは高級車カテゴリーで平民においそれと手が出せるような価格帯ではないのですが、一応将来の購入リストに入れておきたいとは思っています。しかしツイッターでオフィシャルにDMを送ったところ「わたしたちの車に興味を寄せていただきありがとうございます、ただ今のところ日本進出についての予定はないんです。今後もフォローしててね」という丁寧なリプライがありました。わたしの友人も今はボルボオーナーですがポールスターが日本で発売されたら買いたいと言っていて、需要はそこそこあると思うのですが、なぜ日本のマーケットを外しているのでしょうね。

Polestar3のオンライン見積もり(日本ではオーダー不可、見積もりまで見ることは可能)
5,000ドルでLiDARオプション購入可!

わたしたちが知る限り、セールスはほぼ予定通り(コロナ禍およびロシアウクライナ戦争の影響による下方修正、これはもう仕方がない)、Polestar3の発表は大盛況、ニューモデルのリリースも続々控えポールスターの未来は前途洋々に見えるはずです。しかしなぜ株価がぱっとしないのでしょうか。一説には近年の市場外の影響、つまりダークプールの動きによるとかいろんな話が飛び交っていますが、個人投資家がそういうところまで考える意味があまりないように思います。この銘柄は一般投資家にとっては確実に「長期で取り組むべき株」ですので数字さえ伴えばいずれ上がります。今は株価が買い支えられるには知名度も高くなくブランドとして小粒すぎるのでしょうね。

個人的に少し考えているのは、ポールスターがアメリカで生産を開始すれば大きく状況が変わるのではないかということです。ボルボもポールスターもたいして知らないユーザーや投資家の多くは「Geely=中国ブランド=コミュニスト」の色を強く感じているようです。昨今の中国排除の動きも関係があるのでしょう。そこを計算してティッカーもPSNYとしたのではないかと思っていますが、アメリカ色が強くなり、アメリカ人向けのインセンティブを提供して発売されれば車も株もこれまでと別次元で人気が高まっていくのではないでしょうか。

おまけ

昨晩激安の$PSNYを買い足しました。2025~2027年頃まで3~4年間のんびり待ちます。※繰り返しますがスタートアップへの投資はハイリスクですのでご注意ください。保守的で地味な銘柄も結構買っていますが記事にしても全く面白くないので書いていないだけです。

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