わたし、自動運転のプロでもなんでもないので本来LiDARやら自動運転について詳しい記事を書く必要はないんですが、ルミナーポールスターに投資する過程でどうしても知りたいと思って調べ始めたらこうなってしまったわけで、より正確な情報を知りたい方は自動車メーカーや関連サプライヤー、または専門のニュースサイトを調べていただいたほうが良いと思います(詳しく読めるようなサイトがあるのかどうかも知りませんが)。

1月に開催されていたCESでも自動運転に関連した製品やサービスについての発表は非常に多く、CESがリリースした情報によるとカテゴリーの傾向は次のようになっています。

ソニーホンダが発表したAFEELAも当然EVですし、どのメーカーもEVモデルのお披露目にはかなり力を入れていますね。しかしAFEELAってほかにもう少しマシなブランド名は思いつかなかったんですかね?なんというか家電感のある響きで自動車好きの一人としては「それはちょっと違うんじゃない?」と違和感しかありませんでした。

デザインがちょっと攻め足りないかな?

余談になりますが今の世の中の流れは自動車を家電のようにしようとしています。車内にたくさんのディスプレイを並べ、ありとあらゆる情報を美しいデザインで映し出し、映画を見たり高度なゲームさえできるようにもなっていますね。家族がいて、長距離の乗車が頻繁にあるならゲームで暇つぶしというのもありかもしれませんが、ドライブしながら家族で楽しく会話をしながら景色を眺めたり、音楽に耳を傾けたり、季節ごとの日差しや風を感じたり、という時代は終わってしまうのでしょうか。何というか、どんどん人間関係を希薄にさせ、人と人との関わりを断ち切ろうとするように思えてならないのですが。そして運転中にあちこちにカラフルなデザインや照明が散りばめられているのは目障りで運転の楽しみを損なうのではないかという気もします。

本題です。

Innoviz($INVZ)

VWグループ(VW、アウディ、ポルシェ、ベントレーなど)・BMW

こちらが第2世代のInnovizTwo

最新機種は第2世代のInnovizTwo。先月のCESでは円筒形のInnoviz360も発表されています。

VWグループがInnovizを採用するというのはかなり驚きました。元々VWはFordと共にArgo AIに投資をしており、わずか3年前の(Argoが閉める)2022年に26億ドルもの大金をつぎ込みましたがあえなく昨年末に事業は終了。今後は自動運転への投資を子会社のCariadに振り向ける方針となったようです。

VWとの契約が公表されたのは昨年8月のことでした。InnovizのLiDARを搭載したVWの車両がリリースされてから8年間、継続的にHW/SWの提供が行われることになっており、Innovizの発表によればこの契約に基づくLiDARの販売台数は500~800万台、売上は総額40億ドルにも達します。

Innovizは巨額の潜在的売上をつかんだことで大きな自信を得ているでしょうけども、BMWに納品するはずだった製品InnovizOneは遅れに遅れ、エンドユーザーに対しLiDARについてのアピールはできないままです。そもそもBMWはiXからInnoviz製品を採用したのに、ネットを検索してもiX(またはその他のモデル)にInnovizを積んでいるという情報はBMW公式サイトの中に見つけられません。

また非公式の情報ではありますがBMWが非MEMS、つまりInnovizの採用する機構以外でのLiDARを模索中であるという話も伝わってきていますし、自社工場による生産ではなく大手のMagnaに生産委託しているということなので順調に生産が始まったとしても利益率が問題になりそうです。

なぜか半年前の動画が最新のもの

InnovizTwoはルミナーのIris第2世代に比べ高さがありますのでルーフトップに格納するのはデザイン的にも空力特性的にも現実的ではありません。実際メーカーの提案はフロントグリル部分に格納するイメージです。ハードウェアの特色や完成度以外に実装する位置もメーカー毎に異なるので、このあたりも今後の勝負の行方に関係してくるかもしれません。

Valeo

ステランティス(プジョー、シトロエン/DS、フィアット、アルファロメオ、ダッジ、ジープ、クライスラーなど)・メルセデス・ホンダ

メルセデスのSクラスが登場

フランスの大手サプライヤーで専業ではない。最新のLiDAR製品はScala3。2024年からステランティスの様々なブランドで搭載予定ということですが、傘下に置いているアメリカ、イタリア、フランス、イギリスのメーカーで一斉にスタートというのはかなり困難でしょう、最初はプジョーやシトロエン/DSあたりの上位モデルから採用されることになるのではないでしょうか。

過去の実績としてホンダ・レジェンド、そしてメルセデス・ベンツにも搭載されてきました。特に約2年前発売されたレジェンドの採用においては世界初のL3認定モデルとして注目を集めましたね。しかしご存知の通りレジェンドに採用されたScala1は既に役目を終えており、レジェンド自体もわずか1年足らずで生産終了、メルセデスはScala2をSクラスに載せることを決めましたが、その場所は今やルミナーに奪われてしまうことが決まりました。

ステランティスとしてはL3の自動運転はLiDARなしでは実現しないという認識ですので(イーロン、聞いてる?)順調に行けばLiDAR市場の一角を占めることに成功するかもしれません。ヴァレオは生産・営業拠点が世界中にありますし、量産部品の製造で大きな実績を築いてきました。ドイツのバイエルンで生産されるLiDARの開発には300人のエンジニアが関与していると言われていて人材は豊富、技術や企業を買収できる資金力もあります。スタートアップのLiDAR専業メーカーでは太刀打ちできないような規模の論理がうまく作用するでしょうか。

Denso

トヨタ

世界最強レベルの部品メーカーにして、世界最強自動車メーカーのトヨタをバックにつけるデンソー、LiDARへの取り組みは長いものの具体的な動きはあまり見えてきません。これにはデンソー側の事情よりも自動車メーカー側の都合もあるのかもしれませんね。トヨタとレクサスは結局量産ではデンソーを採用する可能性が高いのでは思っていますが、次世代機のSPAD LiDARが出荷されるのは2025年以降となるため、トヨタがこれを使うとなればADAS~AV分野で先行する他の大手自動車ブランドに後れを取る形になりそう。

そういえば先日トヨタの社長が交代することになってびっくりしましたね。本社にいるいとこ(モリゾウさんとはよく会っている)に「これは驚いた!」とメッセージを送ったところ「僕らも知らなくてびっくりした!」と返事がありました。

Luminar Technologies($LAZR)

日産・メルセデスベンツ・ボルボ/ポールスター

既に主力製品Irisの量産に入ったルミナーは直近でボルボ(全車種)、ポールスター(3および5)への具体的なリリースについても発表し、ついに離陸に成功した感があります。ボルボやポールスターは販売台数の面でそれほどの大きなインパクトはないかもしれませんが製品出荷にこぎつけたのはやはり大きいですね。

CESは大盛況だったようです

そして世界販売上位に入るメルセデス、台数が見込める日産の獲得も大成功と言えるでしょう。メルセデスはSクラスの2024-2025年モデルでDrive Pilotに組み込まれ、成功すればおそらく全車種(対象は250万台~)へのオプション搭載となるでしょう。日産も全車種への適用を公表していますので、400万台以上の車両が分母となり大きな期待がかかります。ルミナーは買収により自社グループ内に垂直統合したサプライチェーンを持っており、それが生産面でも大きな強みではありますが、100万単位の生産体制を整えるにはまだまだ時間と資金が必要になるでしょう。

ルミナーについては投資家の楽しみが待ち受けており、そのひとつが2月28日のルミナーデイ、そしてSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)でのセッションです。

ルミナーデイでは2022年の決算内容に加えて短期~長期の財務ガイダンスが発表されますので投資家にとっては電卓を叩く/エクセルを作り直すよい機会になりますね。
Luminar Day | Businesswire

3月15日開催のSXSWではルミナーCEOのオースティン・ラッセルと、メルセデス・ベンツCTOのマーカス・シェーファーがセッションに登場します。もしかするとこの日にIrisを載せた(動くかどうかはともかく)Sクラスが見られるのでは、という予想もあるようで非常に楽しみです。
SXSW 2023 Featured Session: Autonomous Driving

今の相場は金利次第、のわけ

長い長い暴落を耐え、2023年に入ってやっと一息つけた方々も多いと思います。この相場は金利によってダメージを受けており、主に金利で決まっている相場です。今さら御高説を唱えるつもりはさらさらありませんが、金利で最近のハイテク企業がダメージを受ける理屈を簡単にご説明します。厳密にはいろいろな要素が複雑に絡み合っているので短い文章ですべてを解説できるわけではないことも付け加えておきます。

Amazonを例に上げるとわかりやすいかと思いますが、この20年ほどはハイテク企業が株式市場の主役としてもてはやされてきました。昔は業績が良い→利益が出て株主に還元できる→人気が集まり株価も上がる、というサイクルだったのが、ひとつのシステムを世界中で普及させられる時代になり、急激な成長を遂げて投資家を満足させられるような仕組みが出来上がりました。Amazonは基本的に言語や配送システムの違いなどを除き世界中で同じサービスを展開しています。

Amazonの成長に役立ったのが、利益を度外視して市場をものすごいスピードで獲得し、それからビジネスを完成させる=利益を生むようになるという考え方でした。この急成長の仕組(Blitzscaling)があちこちで普及するようになった理由があります。

それが低金利時代だったのです。低金利なのでほぼ無金利でお金を借りて投資が活発に行われるようになると、お金の行き先がなくなりました。そこで複数のスタートアップ企業などに分散して大量の資金を突っ込み、どこかが大成功して投資を回収できるという手法が普通になっていきました。事業が利益を生み出さなくても資金が入ってくるのでハイテク企業はジャブジャブの資金を活用して、究極的なマーケティング、つまり無料でサービスやものを提供し始めたのです。

ということは、間接的に無料のサービスは低金利でお金を借りて投資してきた投資家が負担していたということになります。どう考えても異常な仕組みで、これが永久に続くはずがありません。会員が増えて市場を独占し、無料から有料になって初めて事業として成立するのに、利益を生むに至ってさえいない企業が株式市場を席巻してきたのですから。みなさんも「Twitterはいつまでたっても利益が出ないけどいつになったら儲かるんだろう?どうやってやりくりできてるんだろう?」などと不思議に思われたことがあるのではないですか。

しかし米国が金利を徐々に上げ始めると、企業そのものも負担増になるのに加え、投資家がリターンのないお金を放置しておくことができなくなりました。ひとつの相場の終わりがやってきたわけです。

次の波、やってくるのかい?

今は株式市場に少しずつ資金が戻っていますがまだまだダメージは残っており、FEDの動向次第でまた金利に振り回されるかもしれません。しかしお金は余っていて行き先がなく、結局のところ資金はどこかに行き着きます。投資家は環境に徐々になれてきて一時期の恐怖も和らぎます。また市場は循環するので永遠に上がり続けることはないにしても永遠に下がり続けることもありません。それからアメリカの経済が常に底堅いというのも忘れてはなりません。

予定通り金利の上昇が抑えられ、金利が戻ってくるとまた次のサイクルがやってくるでしょう。わたしが言ったとおりにならなかったら残念なので読んだらすぐ忘れてください。

今年に入ってから米国株を少しずつ増やしていっているところです。ルミナーは4ドル台でかなり買ったので当分はいいかな。ポールスターは思ったより時間がかかりそうです。あと結構持っているセールスフォースが上がってくれれば2025年ぐらいまでの投資は順調に進むと目論んでいます。あ、日本株も地味な銘柄を買いました。結構上がると思います。※個人の感想です

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