株式市場は相変わらずクラッシュが続いており、しかも当初予想されていたよりも回復には相当な時間がかかりそうですね。最近睡眠の質を考えてベッドルームにiPhoneやiPadを置かないようにしているので米国時間に株価を見ることもほとんどなくなりましたが、それでももちろん投資先企業のビジネスの進捗については注意深く見守っています。資金に余裕があれば長期的に買う価値のある会社はたくさんあって、これはある意味素晴らしいチャンスなのではないでしょうか。長期保有したいのにボラティリティを見るのがメンタル的に厳しいという方におすすめなのは、保有額を入れないポートフォリオを作っておくということですね。そうするとその日の大体の相場の動きはわかっていても「うわ、お金が昨日は○○万円減った・・このまま減り続けたら○○○万円も損するかも」という恐怖心を抱き続けなくて済みます。

米国市場は厳しい相場を何度もくぐり抜けて成長してきたのですよ。

さて、5月に入ってルミナーのQ1のビジネスアップデートが発表されました。Twitterでも書いたように拍子抜けするというか、ずっこけるような内容でしたけども、ルミナーの発表したプレスリリースは次のようなものでした。

プレスリリースの概要

2022年の4つの主要なビジネスマイルストーンと財務ガイダンスすべてにおいて順調

ルミナー公式サイト

財務のハイライトを読んだ方は「あれ???」と思われたでしょう。わたしもそうでした。

第1四半期の収益は690万ドルで、会社の予想を上回り、前年比で29%増加しました。

2022年第1四半期の財務情報

結果的に利益がアナリストの予想から大きく外れたことで株価は急落したわけですが、今考えてみるとこの発表時の収益が仮に2倍あったとして株価は逆に大きく上がったのでしょうか?いや一時的に少し上がったかもしれませんがその後同じように下落していたと思いますね。それほど今の市場が悪いです。

なので今回数字のことは一旦置いときまして、いつものようにリリースされるYouTubeの公式チャンネルでの情報をまとめてみました。

結局全ては順調に進んでいる(収益以外は)

まずはルミナーがリリースしたYouTubeの動画を見てみましょう。動画としてあまり面白くはないので、面倒な方は飛ばして下の解説を読んでくだされば大丈夫です。

毎回の決算発表後リリースされるQ2へ向けたビデオメッセージ

共同創設者・CTOのジェイソン・アイヘンホルツ氏

誰もがわたしたちのことをクレイジーだと言っていました。1550nm?無理無理、目(網膜の熱傷)の安全性を確立するのも無理、資金的にも無理、とにかく全部不可能だと言われてきました。そのみんなが無理だと言ってきたことをわたしたちは可能だと証明してきたのです。わたし自身がLuminarにいるのも、わたしたちがチームで開発しているテクノロジーに驚かされ続けているからです。自動車市場にLiDAR技術を提供し、自律性を実現するというのは大変なことです。市販されているものを基準にパフォーマンスを犠牲にするようなら、そこに到達することはできなかったでしょう。

前例のない製品だけに開発は大きなチャレンジだった

わたしたちは非常に早い段階から、ビジネスの展開を自前で切り開くことが重要であることを認識していたので、チップレベルから技術を開発して、想定していたパフォーマンスを発揮することができました。そして、垂直統合がイノベーションのプロセスをさらに加速させることをすぐに理解したので、LiDARの3つの主要なハードウェアコンポーネント(受信機技術、ASIC、レーザー)を支えるクラス最高の企業を次々と買収してきました。

ブラックフォレスト・エンジニアリング:
すべての魔法は、Black Forest Engineering(BFE)が設計したASIC(特定用途向けIC)の中で実行されます。わたしたちは2017年に同社を買収しました。ここコロラドスプリングスのBFEでは、LuminarのIrisセンサー内部のカスタムROIC(読み出し回路)と信号処理チップを開発・設計しています。全てを統合することで性能を飛躍的に伸ばし、チップ生産によるスケールメリットも生まれます。

BFEの顧客ポートフォリオは自動車・宇宙・軍事関連など多岐に及ぶ

オプトグレーション:
Optogrationは、世界最高の光検出器を製造しています。昨年、ボストン郊外にある同社を買収し、InGaAs光検出器のチップを開発・製造していますが、この製品はかつてないレベルのダイナミックレンジと感度を実現しています。

オプトグレーション製品はInGaAs光検出器の最高峰とされる

フリーダムフォトニクス:
そして今年、Freedom Photonicsを買収しました。同社から生まれたレーザー技術はスケールメリットだけではなく、Luminarの次世代機の開発さえも可能にしました。

かなり多様な自社オリジナル製品を保有

ルミナーの製品は、ビーム品質とレーザーダイオードからの直接出力の両方で、世界最先端のパフォーマンスを発揮します。これらのコンポーネントがLiDARシステム内で統合されることにより、驚くべき相乗効果が生まれます。ここオーランドでは何年もかけてレシーバーモジュールとLiDARトランシーバーの最適化を行ってきましたが、今では開発したプロセスを採用し、それをFabrinetに移管して、コアテクノロジー、設計、シリーズ生産のためにスケールアップしています。

ファブリネット:
今日はタイのバンコクにあるFabrinetに来て、彼らと協力して、わたしたちが改善で得たメリットを統合し、次へのプロセスについて一緒にレビューします。

インテルにも在籍していたリッチ・ヒックス氏

Luminarは、自動車の生産量と品質に対応できるような拡張性のあるパートナーを探していましたので、いくつかの重要なアセンブリを行うことができるパートナーが必要でした。特に、コアのレーザートランシーバです。多くの選択肢を検討した結果、ファブリネットを選んだのは、彼らが光学の経験、自動車市場での経験、大量生産の経験という貴重な組み合わせを持っていたことが主な理由です。

タイのハイレベルEMS
内部の様子

わたしたちのコンポーネントの多くは非常に複雑なのですが、おそらく組み立てが最も難しく、最も複雑なコンポーネントはレーザートランシーバーで、500メートルの距離に非常に小さなドット(APD=アバランシェフォトダイオード)のレーザーを並べることが根本的な課題です。受信機とレーザーの位置を確認し、両方を6軸で並べて、わたしたちが望むアライメントになるように調整する、かなり複雑な工程がここになります。

かなり複雑な工程を担当するステーション。一部ぼかしがかかっています

これまでの四半期では、プロセスのチューニングや改善を行い、歩留まりやスループットに劇的な改善が図られました。今後は、PFMEA(製造プロセスにおける工程管理)やFMEA(工程管理)を実施し、テストの改善や工程検査の改善、また自動化と生産能力拡大に取り組み、年内に量産体制に入る予定です。


いよいよ2022年末には量産体制に入る予定ということで、生産が開始すれば必然的に売上は急激に拡大しますから来年以降の決算内容も大きく変わってくることでしょう。

確かにQ1の内容はアナリストの予想からは外れましたが、この時点での売上は量産後の売上と必ずしもリンクしないことを考えると、やはりIrisの製品出荷がスタートしてからの数字が何倍も重要なものになることは言うまでもありません。

少し話が変わりますが、参考までにたとえばハイテクの花形企業となったGPUメーカーのNvidiaは今から6年前の今頃どのような状況だったでしょうか。

2016年の5月16日、そして5月23日の株価を見てみると11ドルを上回るレベル(4:1に分割後の修正株価なので一応参考、という程度)だったのです。「PER50倍とか高すぎ頭おかしい」などと書く人もいたほど。その後、実に30倍となる350ドル(分割前で1,400ドル相当)あたりまで上昇し、現在株価はその半分程度ですが業界での大成功例となりました。比較されるAMDにしても6年前の同時期にはわずか3ドル台。これに比べれば$LAZRはむしろかなり高く評価されたままであるとも言えます。ルミナーが計画していることがある程度達成できれば、Nvidiaのような業界リーダーとして大きく飛躍することができるでしょう。

動画の最後に気になる部分が

動画の最後に出てくるレクサスRX

そういえば、ご紹介した動画の最後にはこのとおりレクサスが出てくるんですね。レクサスのロゴが意味ありげに黒く塗られていますが、ここに既に契約を交わしているボルボ、メルセデス、日産ではなくあえてレクサスを持ってくる意味がなにかあるのでしょうか?既にレクサス(トヨタ)が自動運転のシステム構成やサプライヤーを決めているとすればとんでもない見当違いといえるシーンであることから、非常に何か(「何か」はひとつしかない)を示唆しているように感じるのはわたしだけでしょうか?Luminarの広報動画で最も頻繁に登場するのがレクサスRX、そしてトヨタRAV4というのはルミナーとトヨタの関係性を示唆していますか?

投資家向け広報資料では日産についての説明の直前のページがこれです

これもあくまで参考にとどめていただきたいのですが、とあるソーシャルメディアで世界的大手自動車部品メーカーの幹部からこの動画に対して「量産化に向けて大いなる前進!」というコメントが付けられているのを見つけて少し驚きました。これまで契約や提携の話が一切表面化していないメーカーです。レクサスの件と多少リンクしていますので勘の良い方ならわかるかもしれません。※補足しますが、さらに調べていくとこの方の現在の主な顧客はシトロエンのようですのでトヨタと直接関係ないかもしれませんが、日本の法人にも在籍していたようですので無関係でもないのかな、という感じですね。シトロエンは2019年にコンセプトカーでLiDARを搭載していましたがそれ以降は情報がないのでそこにも興味があります。現在シトロエンはステランティスのファミリーですのでルミナー採用の可能性はそこそこありますよ。※付け加え忘れましたがステランティスはレベル3、4についてBMWとパートナーシップを組んでいます。ただし同じ製品(今で言うとInnoviz)を採用するかどうかは別ですし、ステランティスは間違いなく水面下でルミナーとも接点を持っています。

これまで多くの情報に加え、個人的な推測を立ててきて、一部の情報はほぼ正しい洞察であったことが明らかになりました。公になるまでなんとも言えませんが、ルミナーの将来にとって明るいニュースが続くよう願っています。

現在の株価についてはなんとも言えないものの、今年終わり頃まで大きく収益性が上がることは期待できませんので、まだまだ当分辛抱が続きそうではありますね。

おまけ

ストッククローラーに頻繁にアクセスして記事を翻訳して?読んでくださっているアメリカ、ブラジル、インド、ウルグアイ、ザンビア、ウクライナ(Oh…)、コロンビア、UAE、アフガニスタン、アルバニアなどの皆様、英語の記事を探された方がたくさん情報ありませんか???????

おまけその2

自動車部品の会員制データベースを調べたところ、ルミナーの納入先として「トヨタ」という名前がまだちゃんと入っていますね。また「長距離3D LiDAR」の納入先として「ポールスター」が登録されており、製品名には「モデルイヤー2023のPolestar 3(USA)」として記載されています。ということは割りと新しいデータとしてもトヨタが顧客であることが依然公に知られているということになりますね。

おまけその3

おまけというか単に言いたいことを付け足しているだけです。以前日本のヤフーファイナンスの掲示板にこのサイトを紹介してくださった方がいらっしゃって、その中で別の方が「この人はルミナーを自分の好みで偏って押してるだけで参考にならん」と書いていて思わず笑いました。

「株を持ってもないし好きでもないし未来もない企業を詳しく調べてどうすんのよ?」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。