いやぁ、本当に驚きました。日産が自動運転(AD/ADAS)テクノロジーの一部としてLuminarのLiDARを採用したことに驚いたのではありません。日産の自動運転に関する発表へのマスコミの反響に心底びっくりしています。

オフィシャルのライブ映像はこちら。皆さんもうご存知ですね。

日本語版があったんですね・・・追加しました

実は今朝非常に忙しくてこのニュースを全く知らなかったのですが、Twitterでいつも有益な情報をくれている海外の方から「日産、言ってた通りきたでしょ」というDMが来て文字通り目が点、しばらく何のことかわかりませんでした。ところが日本のニュースは日産の技術の話題満載!真っ先にTwitterのルミナー公式、YouTube、そしてヤフーニュースで確認しました。

日産発表の概要

「もうとっくに知ってるよ」という方はどうぞ素通りしてください。

まずはTwitterのルミナー公式 @luminartech より。

テスト車両はスカイライン。日産、このチョイスが素敵
搭載したハードウェアはHydra。量産時にはIrisを搭載。

テスラを信奉する一部の人々には「LiDARよりカメラ」なのでしょうが、何度も何度も申し上げるように日産もルミナーも「カメラよりLiDAR」などとは一言も言っていません。日産が発表したPro Pilotはカメラ、レーダー、LiDARなどのマルチセンサーで構成されていて、LiDARはシステム全体の一部を担うことになります。そしてカメラは自動運転を実現するためだけではなく絶対に必要です。これを何度説明してもテスラ信者には「LiDARにはカメラの代わりは無理」という話になるのが不思議でなりません。少ししつこいですかね。

YouTubeでのプレゼン内容

さすがかつて技術の日産と言われた通り、プレゼンテーションの内容は他社とは一味違うマニアックな分析と説明が一部織り込まれていました。簡単にハイライトを抜き出してみましょう。動画に出てくる見慣れないSUVのような車はAmbition 2030で同時に発表されたチルアウトというコンセプトカーです。

複雑な事故を判断して最適な回避を行う
差し迫った状況にも対応
飛んできた物体の軌道を予測して回避
横から出てきた車両を余裕を持ってかわし、
続いて飛び出してきた歩行者との衝突を急ブレーキで避ける
右奥に見える転がるタイヤを避け、続いて再度出てきた車両をも回避

毎度おなじみの衝突安全性テストに不可欠な車両型ダミーの4Active C2、そして歩行者型の4Active PAが登場しています。いずれもオーストリアの専門メーカー4 Active Systemsの製品。日産スタッフがデモ用に頑張って用意した手作りの人形ではありませんよ。

そしていきなりLiDARの役割を解説

実際にはLiDAR、レーダー、カメラについて図解されているのですが、プレゼンテーションとしては主にLiDARに焦点を当てています。これについてはやはりLiDARを中心としたルミナーのシステムに関して高い信頼をおいており、自動運転に占める役割を大きく捉えているのでしょう。このような表も用意されていました。次世代型LiDARは形状(把握)、距離、方向、反応速度の全てにおいてエクセレントと評価されています。

精度で他を圧倒するLiDARの能力をうまく活用し、他のセンサーと組み合わせる方針

ただし、このLiDARというのはルミナーのIrisを指すものの、現行のIrisでは達成できていない性能を実現するため現在開発中、という但し書きが付くことになります。したがって、ルミナーはこれから日産が要求する能力を発揮できるハードウェアとソフトウェアを完成させなければなりません。

ルミナーのLiDARは進化を続ける

自動運転を実現するための日産車のシステム構成はこのように考えられています。

・LiDAR
・カメラ
・レーダー
・ステアリングコントロール
・HDマップ
・ECU
・電動パーキングブレーキ
といった様々なパーツが融合しており、これらを統合するソフトウェアもまた非常に重要な役割を果たすことになります。上記はイメージ図ですが、LiDARについての図がちょうどIrisぐらいのサイズになっています。もちろんHydraでは自動車のデザインを損なうため実際にIrisあるいはもっと小型化された次世代型のLiDARが搭載されることになるでしょう。現在でもIrisをルーフトップに統合するためのデザイン上の努力は見えますが、もっと小型化することを各自動車メーカーから要求されているはずです。Irisほどのサイズでもフロントウィンドウ上端のバンプはエアロダイナミクスに影響を与えますし、車両のデザインに制約を与えることになります。

どれほどの市場性があるのか

日産はグローバルで年間約400~500万台の自動車を生産しています。この日の発表では2030年に生産する全車両に自動運転システムを搭載する計画とのこと。

500万台の車両に、1台あたりたとえば300ドルでIrisを搭載、1ドル120円換算として1800億円もの売上となります。ルノー、三菱を加えるとこの2倍程度になりますから売上は3600億円。ここに自動運転のレベルに応じたサブスクリプションの売上が加算されるというのが現時点での計画のはずですが、あくまでも全て仮定のお話です。また、いくらなんでも数年の内に安価なモデルも含む全車両に搭載ということにはならないでしょう。それにしても、メルセデスボルボポールスターなどの顧客が既にリストに加えられているとは言え、日産のような規模のメーカーに採用されることの影響には凄まじいものがあります。まだまだ気が早いですが、2030年の大規模生産に向けてプロジェクトが順調に進むことを祈ります。

それから、忘れてはいけないのが日産の将来です。ゴーン失脚後、結局業績も株価も評判も大きく下げることになってしまい、多くの投資家に歓迎されていた配当利回りの良さも消滅。そんな空気を一気に吹き飛ばすかのようにAmbition 2030が発表され、2030年までに23ものEVニューモデルをリリースするとか、4種類のコンセプトカーのお披露目とか、さらには全固体電池への注力といったニュースなど話題が満載です。ぜひこれを期に中長期的に大きく飛躍してほしいなと期待しています。

そういえば、再来月には元日産のとある大物(聞けば誰もが驚く相当な大物です)の方が海外からわざわざ会いに来てくれることになっていて、3ヶ月前からウキウキしつつ店を2軒予約してあります。※こういうことはハッタリでは申しません
今回のお話も少しワインのつまみにしながらなにか面白いネタでも聞けたらいいなと思っています。

今日のルミナー株は先程ちらっと見た限り前日比4%程度の上昇まもなく直近の決算発表を控えていることもあってこのままぐんぐん上昇するというわけにはいかないでしょう。今年の決算は量産を控えてそれなりに重要になってきますので引き続き注目したいですね。

現在、国立大学と共同で作成している論文の執筆、ドイツ車メーカー用の追加部品納品、新工場立ち上げ、1歳になって歩き始め、なにやらゴニョゴニョしゃべり始めた娘の子育てなどいろいろ取り組んでおります。また上手に時間を作って記事を追加していきたいと思います。

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