1週間前に発表された、ルミナー・テクノロジーによるフリーダム・フォトニクスの買収について、「ルミナーはビジネスを加速させるための買収を積極的に継続している」というひとくくりで説明または理解されているようですので、少し補足しておきたいと思います。といっても重要なのはたった一つのポイントだけ。それは大幅なコストダウンです。

ルミナー公式がYouTube動画を紹介

動画を公開しているチャンネルはハイテク専門の分析企業Moor Insights & Strategyで、解説しているのはそのファウンダーであるPatrick Moorhead氏、お相手はFuturum Researchの主席アナリストDaniel Newman氏。実際のYouTube動画はこちらです。下に非常に簡単にまとめておきました。

Moorehead氏:LuminarLiDARのリーディングカンパニーです。イーロン・マスクがLiDARを「バカのやることだ」と言ったことで、LiDARは有名になりました。当時、LiDARは1万ドルの巨大なサイレンのようなものだったと思いますが、今では1,000ドルにまで下がっています。そしてLuminarは部品コストを100ドルにまで下げるというビジョンと目標を持っています。

LuminarFreedom photonixという会社を買収しました。ここはコストを抑えることに成功したレーザー用小型IP(Intellectual Property、ここでは単純に超小型部品と考えていただいてOK)を製造している会社で、これこそまさにLuminarが100ドルまでコストダウンすることを達成するためです。

写真にある部品はレーザー部品用半導体です。

DIME(¢10硬貨)との比較。長い方で約4.6mm、短い方はわずか2.9mm

Freedom Photonixは自社オリジナルの光学系部品をたくさんもっているのでどの製品かははっきりしませんが、いずれにせよレシーバー、ASIC(半導体集積回路)、レーザーのコストを大幅に抑えるのに貢献するでしょう。

Newman氏:Luminarには技術的な裏付けがありますし、非常にユニークな技術の数々によって、ボルボやメルセデスなどの企業の関心を勝ち取っており、わたしたちはデモも目にしました。ドライバーにとってセキュリティや安全面からLiDARが搭載されるというのは議論の余地がないほど重要です。

Luminarはより多くのOEM先にとって魅力的な会社である必要があります。自社の革新的な技術をコストを抑え短期間でできるだけ多くの車両に搭載してもらうことです。自動車業界を知っている人なら誰でも、そんなことが一夜で成し得るはずがないとわかっています。ルミナーが3年、4年、5年先のテクノロジーを実現するためには今これらのテクノロジーを導入してもらう必要性があります。チップ企業の競争も激しくなっています。NVIDIAQualcommIntelは、2030年までに自動車の部品構成の20%が半導体になると予測して大規模な投資を行っています。

Futurum Researchの記事より要約

左側のDaniel Newmanが書いた元の記事はこちら
Luminarが高性能レーザーチップのメーカーであるFreedom Photonixを買収

自動運転技術の重要な要素であるLiDARのパフォーマンスと精度を向上させると同時に、低コストを実現

Freedom PhotonicsのIPを導入することで、自動運転技術が直面する主要な問題のひとつ「離れた場所にある物体の識別」を向上

人間のドライバーと同じように道路上の人と物体を明確に識別するための、高出力のレーザーパルスと高品質のビームはいずれもFreedomPhotonicsが得意とするテクノロジー

この買収により、Luminarは3つの主要なLiDARハードウェアコンポーネントを傘下のグループ企業から調達が可能に

$LAZRについて多くの人が誤解していること

多くの専門家の記事、多くの掲示板のコメントを読んできて、非常に多くの人が誤解しているであろうことを最後に書いておきます。

「ルミナーの事業は自動運転屋さんなのでL3、L4が普及、あるいは法整備されなければ成立しない」

このブログを読んでくださっている方なら正しく理解しておられると思いますが、L3以上の実現によりようやくルミナーの事業が確立されるというわけではありません。ルミナー・テクノロジーズの事業は現行のADASの強化からスタートしており、実際には機能しないことも多いとされるL2のテクノロジーをカバーしています。つまり、まだ当面はL3の普及には時間があるものの、レーン・キーピングや緊急時自動ブレーキといった、各社の現行モデルで既に搭載される技術を強化する役割も担っていて、非常に大きな冗長性を保ちつつその延長線上(数年先)にL3、L4の実現があるという流れになります。そこで現時点ではADASを前提とするとなればコストの抑制が極めて重要なファクターになるという理屈なのです。→「一応」業界としては既にADASが成立した機能、商品の一部になっているため、現行の運転支援のために追加で大きなコストはかけられない

※5月23日追記・・・SECに提出された2021年度のForm 10-K(年次報告書)、2ページ目に「LiDAR搭載車両はプロアクティブセーフティに対応するため、L0/L1/L2などL3/L4以外の自律型ソリューションにもメリットがあります。とはっきり記載されています。

過去の記事にも書いていますが、ルミナーは製品およびサービスのコンセプトとして「WaymoやCruiseのようにドライバーをシステムに置き換えるのではなく、ドライバーを強化し支援する」のであると宣伝しています。※どこに書いたか忘れたのでリンクできない・・・

相変わらずいろんな掲示板に「早く売上上げろ」「早く株価を上げろ」と書く人がいて心底驚くのですが、「ずっと前から予定されているとおり、まだ量産製品を出荷してないんですが」と誰か教えてあげてください、いやもう説明するだけ時間の無駄ですかね。


知らない間に$TSLAがぐんぐん上昇して、ついに含み益が再び80%を超えました。一旦大きく下げたもののこの相場でも強いです。おかげでルミナーのすごい含み損にも関わらずポートフォリオは黒字となりそこそこ健全化。AIの責任者であるアンドレイ・カルパシーは長期休暇に出て戻ってくるかわからないし(戻らなければLiDAR採用に弾みがつくかも)、イーロン・マスクの発言も相変わらず過激で、もうこのあたりで残りを全部売ろうと思っていたのですが分割のニュースで少し様子見です。イーロン、お願いだから市場を騒がせることはしないでね。※5月23日追記・・・このあとTwitter買収、セクシャルハラスメントなどのニュースが次々出てきました。「わたしにスキャンダルが起きたらイーロンゲートと呼んでくれ」などと冗談言ってる場合ですか

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