今年に入ってわたしの会社の相談役(そこそこ有名な年配の人)に突然応接室に呼び出され、「Stockくん、きみ確か昔アメリカの株をやってるって言ってたよな?実は最近株をやり始めてね・・・ちょっと米国株の売買についてこっそり教えてくれんかね」と言われました。「家族にさえ内緒ですので会社の人を含め絶対に言わないと約束していただけるなら」ということで2時間ほど自分のポートフォリオもほんの一部見せながら説明したあとぼそっと言われました。

「ごめん、ちょっと難しすぎるしやっぱり株やめとくわ


今回ご紹介する動画はCES2022期間中に撮影されたもののようですが、製品担当シニアディレクターのマット・ウィードDr.Matthew Weed)氏がLiDARを備えたプロアクティブセーフティーの技術についてわかりやすく説明されています。動画は長いですが語られていることはほんのわずかな要約です。しかしそこに含まれていることの意味をもう少し考えながら内容を解説していきます。

この方のルミナーTをみてルミナーに「お願いTシャツ販売して!」と連絡したのはわたしです

インタビューの翻訳は非常に難解でそのまま書いてもなんのこっちゃとなるので、今回も背景などを理解していただくためかなり端折ったり意訳の形で書いています。真実を伝えるための記事ですので捻じ曲げたり都合の良い解釈などはしておりませんが信用できないという方はどうぞ元の動画をご覧ください。マイル表示はKmに変換しています。←今気づいたんですがおかしな日本語の自動翻訳でも見ることができるようですね。

処理された後の画像。実際には1センチの精度でポイントクラウド(点群)を解析している

ここ数年ルミナーの大きな優先事項は、わたしたちのLiDARテクノロジーに基づくソフトウェア開発をよりディープに行うことでした。ポイントクラウドの構築は素晴らしいのですが、それを使って何かを行うことで大きなインパクトを与えることができます(注:ここでのインパクトとは「強い印象」ではなく「影響を与える」こと)。わたしたちはポイントクラウドから理解を深め、車が自律的に計画を立て、行動できるようにする方法を見つけることに注力してきました。(中略)しかし、路上に出る前の第一歩としてテストコースでのテストが不可欠です。そこで昨年からLiDARを車両に組み込み、専用コースでテスト用ターゲットやダミーを使って、テストを繰り返し何度も行ってきました。わたしたちが取り組んできたこと、そしてわたしたちの会社を前進させるための原動力は「Proactive Safety」と呼ばれるもので、車に十分な時間と距離をもって周囲の状況を理解させ、命を守るために先回りして行動できるようにする機能です。プロアクティブセーフティは、人間であれ、ロボットなどの自動運転システムであれ、誰が運転しているかに関係なく作動する特別なものです。市街地、高速道路、交通量の多い場所、その他一般道など、どのような場所でも車の安全性を支えます。

Proactive Safetyとは機能の名称でもありますし、ルミナーの技術における基本概念と言いましょうか、非常に核心的な目標でもあるわけなんですね。

テストトラックでのテストが念入りに行われてきた
レクサスRXを使ったテスト(LiDAR搭載車両)

“自動車が安全に走行するためには車が環境について理解している必要があります。道路は縁石や歩道などに区別されています。道路がどのように車線に分かれているか、道路がどのように交差しているか、歩行者、車、障害物など、走行可能な空間におけるあらゆるものの検知相互の関係性を把握するということです。”

走行可能な空間におけるあらゆるものに注意を払い、運転している自分の車との関連を認識している」ドライバーは実際どの程度いるでしょうか?おそらく車を駅やスーパーまで行き来する足代わりにしているような人をはじめかなり多くのドライバーが割と漫然と習慣的に、そしてあまり深く考えずに運転しているのではありませんか?特に最近は堂々とスマホを操作しながら運転しているドライバーがめちゃくちゃ多いです。この時点で自律運転の安全性に期待できる大きな要素があるように思います。

余談ですが先日車を運転していると後ろからものすごいスピードを出して強引に追い越そうとしてきた車がありました。信号で並んだのでふと運転手を見てみると、なんとハンドルを肘で操作し両手で握ったスマホでゲームしていました。トラックには運送会社の名前が書いてあったので「運転もひどいがせめてスマホを操作しながらの運転はやめさせてください、わたしが見たドライバー(プロのドライバーですよ?)さんは運転中にゲームしていました」とその会社にメールで連絡しましたがなんの返事もありませんでしたね。

道路、歩道、歩行者、車両、標識などを検知し相互関係を把握

緊急ブレーキを作動させるまでの理屈

そんな低レベルな人の話はさておき、ハイレベルな自律運転の説明に戻ります。マット・ウィード氏の話は具体的なシナリオについての解説に移っていきます。ここからは全て動画中の解説です。

例えば、夕暮れ時の照明の暗い場所で、子供がボールを追いかけている場面を想定してみましょう。

子どもたちは暗くなってもこうやってよく遊んでいますよね
これもよくある状況
レクサスRX、もちろんルミナーのIris搭載
15M、1.257秒の地点で子供を発見!

プロアクティブセーフティーはこんな風に働く!

“このシナリオでは自動車は時速40km/hで走行中で、子供を最初に発見したのは約15メートル、あとわずか1.25秒ほどの距離です。

そのため、人間が操作を始めるにせよ車両の安全システム側が操作を行うにせよ、車両ではいちはやく積極的に操作の準備を始める時間があります。このままでは衝突するであろうわずか1.25秒の間で、ブレーキングを行うためのおよそ0.5秒、距離にして10mを確保する必要があります。この間にブレーキシステムの準備をします。ブレーキの作動を始め、ブレーキシステムが予備動作(油圧のフルードを流す)し始め、ステアリング操作を行ったときに車両が反応しやすくなるように(荷重を前輪に移す?)します。また、万が一の衝突に備えてシートベルトを締めつけるようシートベルトシステムに信号を送り、パッセンジャーを保護します。また、ドライバーに警告を発して注意喚起することもできます。これら予備的動作が組み合わさることにより、車両システムに「プロアクティブ」な状況が生まれ、次の(重要な岐路となる)アクションが必要なときに車両は既に準備ができているということになります。この車は10メートルほど離れた場所で、残り約0.5秒でこの子供を検知したことを確認しました。つまり行動を起こすべき絶対的時間、絶対的距離に入ってきたということです。”

もう子供はすぐ目の前に
残り10メートル、わずか0.5秒!

“最後の瞬間何が起きるのでしょうか?ドライバーはまだブレーキ操作に移行できていないので、わたしたちのシステムがついに介入します。これまでの予備的動作により準備が整っているおかげで、緊急自動ブレーキにより子どもの命を救うために間一髪でクルマを止めることができました。

事前に警告が流れ・・・
システムが介入し間一髪で停止できた
ドライバーは冷や汗をかくが子供の方は「?」

“この瞬間は、もちろんこの子どもにとっても、運転手にとっても悲劇になりかねないものでしたが、わたしたちのシステムはその悲劇を回避することができました。このような安全性の確立こそが「プロアクティブ・セーフティー」のミッションを前進させている原動力なのです。”


この動画をみて最後の説明の部分には非常に驚きました。人が出てきた、ブレーキ踏め!どん!とブレーキをかけて止まった、これがAEBだと思っていましたが、前方のオブジェクトを検知したあとセーフティーマージンを残して車両の安全システムを最短で停止できる状態に準備が始まっていたのですね、ちょっと感動しました。

ルミナーのLiDAR搭載車両のデモを見たテスラ擁護派は「こんなエッジケース取り上げてうまくいったなんてどうでもいい」などと言っていますが、自分の子供がサッカーボールを追いかけていった子供、あるいは自分が運転していたドライバーだったとしてこのような「エッジケース」でAEBが作動する必要はない、などとは言えないでしょう。事故を起こすことで自分や周りの人々の人生を大きく変えてしまうことになってしまうなんてどう考えても悲劇です。

さて、またもやかなり長くなりましたので続きは次回に譲りましょう。


最後にまた余談ですが、実は喉が痛くて昨日夕方クリニックを受診しました。入り口で用件を聞かれ「喉が痛くて

と言った瞬間ドアを閉められ隙間から「コロナの感染がすごいので一旦失礼します、あとでお呼びします」と言われ、数分してから別室に連れて行かれました。そこで防護服のような格好をした先生に検査キットを渡され

「こちらに来院された風邪症状の患者さんのうち70%以上がコロナなんです、なのでPCR検査を行っていただきます。喉の痛みということであれば正直言って今はコロナの可能性が高いですね。ちなみに治療と言っても痛み止めを飲んでうがいしていただくだけです」ということで検体を取られ3,000円支払ってから院外薬局でカロナール(軽い痛み止め)とうがい薬のみ受け取って帰りました。

万が一陽性だったら家族もいますしホテルに行こうか、ホテルだと治ってからでもお酒も一切ダメだしどうしようかと昨晩からずっと考えていたのですが昼前に電話が来て「ネガティブ、陰性でした、またなにかあれば来院してください、お大事に」ということで無事終了。喉の痛みはほとんどなくなっていました。

感染症対策はじゅうぶん注意するべきですし、マスク手洗いうがいなどきちんとやっていて人の多いところにもほぼ行っていませんけれど、もはやコロナってなんなんでしょうね???

One thought on “LiDAR:プロアクティブセーフティーの基盤”
  1. […] この記事は以前書いたLiDAR:プロアクティブセーフティーの基盤の続編となります。ルミナー・テクノロジーズが掲げる最先端の運転支援システムそして概念でもあるProactive Safetyがどのように働くのかその理屈を解説したYouTube動画についての説明です。まずは改めて動画を貼っておきます。 […]

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