前回の記事で「テスラに都合の悪い真実を書きます」と宣言したものの、調べても調べてもソースの整合性が取れず、あまりにも信憑性の薄い内容を書くのもなぁと悩むこと数週間、どうやら有料サービスの記事を掘り下げないとしっかりした内容を固めるのは難しいと判断して諦めました。毎回こんなことばっかりですみません。

そこで代わりにお届けするのがきっと誰にも関心がない、そこまで興味がわかないであろうオースティン・ラッセルの不動産購入についてのお話しです。

購入したのは8300万ドル(90億円以上)の超超高級邸宅

ラッセルが買ったのはロス・アンジェルスの高級住宅地パシフィックパリセーズの最も北端にある有名な邸宅で、有名なデベロッパーであるArdie Tavangarianが手掛けたもの。少し前まで月額35万ドルで貸し出されていたそうですからその規模の邸宅にご興味のある方は周辺の不動産についてお問い合わせしてみられるといいと思います。※ただしビリオネアの方に限る

20,000平方フィートもの敷地に建てられた家には6つのベッドルームと18のバスルームが含まれており、裏側は天井まで達するガラスドアを通じて裏庭に通じていて、家を取り囲むように続いた特徴的な私道の上側にはラウンジスペースと景色と一体化したインフィニティプールがドーンと設けられています。

インフィニティプールが風景に溶け込む
サンタモニカを一望できる高台の豪邸

アメリカらしいなと思うのは有名人のマンション(豪邸)は業界を通じて建物内外の様々な情報がリークされていて、たとえばメインベッドルームには網膜スキャナーによるアクセスが必要であるとか、ジェームズ・ボンドでさえためらうだろうと言われるほどの堅牢なセキュリティシステムがあるとか、とにかく何かと世間に知られてしまっているんですね。もちろん侵入したところで厳重なセキュリティに守られていますし、ガードマンがたくさんいますから犯罪者が家の中に入ることはおろか侵入を試みることさえできないでしょう。

ここまで大きい家を「見たことがある」人さえほとんどいないはず
ピンの場所が1601 San Onofre。カリフォルニア全土でも有数の邸宅。

さて、全米有数と言っても良いこの大邸宅、購入者が素性を全く明かさなかったため当初は仮想通貨で財を成した人物が購入したそうだと噂されていました。12月に入って徐々に情報が明らかになり、史上最も若くしてセルフメイドビリオネア(親から受け継いだのではなく自分で稼いだビリオネア、日本語で該当する言葉はおそらくない)となったオースティン・ラッセルがサウスダコタの資産信託会社を通じて購入したことが判明。

サウスダコタ???日本人ならどこにあるかもあまり知らないはず(だいたいアメリカのど真ん中)のこの州は独自の信託法によって、いまやアメリカにおけるスイスのように資産およびプライバシーの厳重な保護で知られるようになっています。資産を知られたくない富豪や有名人が匿名で資産運用を図るためにサウスダコタの信託会社を経由することはよくあり、家族にさえその秘密が開示されることはありません。今回の不動産購入については仲介に入ったエージェントなどから情報がリークされたのでしょう。

上の画像を見ると1601の巨大マンションの南隣にもかなり大きな建物が見えますが、この1600は2009年にトム・ハンクスが購入した住まいのようです。12年前には不動産価格もかなりお値打ちだったようで、当時の購入価格は3000万(30億円以内)ドルにもならないということ。

高台から見える景色はこんな感じ(実際はもっと高くから見える)

株主から搾取して富を見せびらかしているとの批判

SPACの大半が直面している「上場直後だけ株価が急上昇してそのまま燃え尽きる」パターンは$LAZRの場合も例外ではなく、40ドルあたりで買った個人投資家は1年に渡り痛手を負っていますし、30ドル前後からの株主はちょっとでも上がったらバンバン損切りしているようですからオースティン・ラッセルのぶっ飛んだ買い物に嫌味のひとつも言いたくなるのはわかります。既に規制がかかったとは言えルミナーに限らずSPAC上場はやはり大きな問題を孕んでいますね。

ところで、ルミナー・テクノロジーズのことについてはおそらく日本有数のしつこい調査を重ねてきたストクロですけども、さすがにオースティン・ラッセルの家族のことまでは書いていませんでした。みなさんもよほどの偏執狂でもなければそこまではご存じないと思います。

まず父親のマイケル・ラッセルは不動産業界では有名な敏腕コンサルタントで、全米の全ての州および世界12カ国に1,400もの拠点とパートナーをもつMohr Partnersのマネージング・プリンシパルとして活躍していました。マイク・ラッセル自身は大富豪とまではいかないとしても上級職のやり手不動産マンとして相当裕福だったようで、現在は勤務先の不動産会社を退職し、ルミナー・テクノロジーズで働いています。また母親は元モデル、女優のシャノン(・クレイ)さんで当然ながら高等教育を受けるため経済的に恵まれた環境にあったことは間違いありません。

父親のマイケル・ラッセル氏。よく似ていらっしゃる。

裕福ではあったもののラッセルファミリーは比較的厳格な家庭であったようで、6年生(12歳)の頃にオースティンが携帯電話をおねだりしても両親は許可を出さなかったと言われています。そうした環境も彼の好奇心に火をつけたのか、後にスタンフォードに入りフォトニクス(光学技術)の天才エンジニアと言われるようになったオースティンはわずか12歳でニンテンドーDSを改造して携帯電話回線に接続し、自宅に電話して両親を驚かせることになります。彼は5歳のときに既に元素周期表を丸暗記し、5桁の掛け算を暗算で行えたそうですが、天才というのはこういうレベルの人間なのですね。

少し話が逸れましたが、天才とはいえ子供を甘やかさなかったと言われるラッセル家がビリオネアの息子の大散財を黙って見ているはずもなく、おそらくですがパリセーズハウスの購入にあたっては父親のマイケル・ラッセルの助言があったものと考えられます。そもそもとんでもないお金持ちなんですから自分が買いたいものを買えばいいんですよ、スーパーカーを何十台も買うとか、何千万円もする高級時計を両腕につけるというような節操のない見せびらかしをしているわけではないんですから。

しかしまぁとんでもないスケールのおうちですこと

Twitterでも書きましたが、株主から搾取するも何もまだ量産化スタートの前だというのに「家を買っている余裕があるなら早く業績を上げろ」という意味不明の主張をする投資家こそ最低限の勉強はするべきでしょうね。ルミナーは既に通期のガイダンスを出しており、直近の売上は申し訳程度にしか計画されていません。文句を言う前に開示された情報をちゃんと読んで調べて、「おかしいと思ったら買わない」。これだけなんです。

よくわからないけどとりあえず買った→どんどん株価が下がって気になって眠れない→CEOの買い物に腹が立つ

順番がおかしいんですよ、ねえ?

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