一昨日からルミナーのNVIDIAとの新しいビジネスを獲得した件で大いに喜び、これは今後の値動きが楽しみ!と思っていたのですがサマータイム終了により市場オープンが遅くなったので結局昨日も一昨日も朝まで寝てしまいあとから結果を知ることになってしまいました。Q3の結果も朝コーヒーを飲みながらなんとなく確認。どうせ見ていたところでわたしのフォースが発動して市場を動かせるわけでもなければ$LAZRを売ったり買ったりしたわけでもないので長期投資とはそんなもんだということにしておきましょう。

売上はそこそこ予想を下回るも

もうツイッターをはじめ様々なところでわいわい取り上げられていますのでいまさらわたしが解説らしい解説をする必要もないかとは思いますが、まずはひとつだけ言わせてください。今回のQ3で売上が日本風に言えば「未達」でボロボロじゃないかという意見が結構出ております。こんなんじゃサプライズにならないし株価も上がらないじゃないの!という怒りもあるかもしれません。しかし上場後2年目、売上目標もあってないぐらい低い数字で、通期でたったのたったの30億(円)~という程度。今回発表の売上は900万ドルの予想が800万ドルという数字でした。これが予想900億ドル(10兆円)、実績が800億ドル(8.8兆円)なら大変なことで、株価も一時的に暴落して当然だと思いますがルミナーの売上実績は10億円が8.8億円程度、たった1億ちょっとのショート。いいですか?ルミナーの商売は量産が始まってからが勝負で、そうなれば対象となる顧客の販売台数×ルミナーの売価である程度収益予測は立てられるかもしれません。しかし現時点のルミナーは「量産部品の出荷がまだ始まってもいない」状況です。今年の決算に関して言えば(通期で大きくミスした場合の影響は認めるが既にその可能性もない)よほどの不可解な現金の減少などがない限りほぼ意味なしだと思いますね。まあ上場企業で働いたことも、上場企業の実務を経験したこともない自称投資家が「売上未達」だなんだと嘆いたところで将来になんの影響も、1ミリの影響もないので関係のない話ではありますが。

達成したこと

財務レポートは一旦さておき、ビジネスとして達成したことは次の通りです。

  • Irisの量産化体制※後述します
  • ソフトウェア製品の完成
  • 採用実績が加わる
  • 受注の増加※今回の発表に不満な人はみんなこれを見落としている
  • 現金(および同等物)の増加

採用実績については、NVIDIAをはじめPolestar、そしてトラックのEmbark TrucksKodiac Robotics、ルーフ関係のサプライヤーであるイナルファベバストなどが挙げられています。NVIDIAの話題の大きさに隠れていますがボルボのハイエンドブランドであるポールスターも素晴らしい顧客ですし、EmbarkもKodiacも物流のシステムごと変革させる革新的なブランドです。特にEmbarkは上場を果たしたばかりで資金も潤沢、マーケットの視線も集まっています。ルーフ関連サプライヤーの2社については営業先としてかなり脈があると思いますし、センシングユニット搭載ルーフシステムのノウハウは量産メーカーにとって強力な販売ツールでしょう。

今回のアップデートで大手の顧客、たとえばメルセデスなどと契約をした!というようなネタが発表されるとは全く思っていませんでしたが、自動車メーカーではなくサプライヤーとの超強力なネットワークを構築していることから今後具体的な採用実績が発表されると思われます。なので既に発表されたパートナー企業が自動車メーカーから受注したという事実が公表されることで結果的にルミナーの信頼度もどんどん高まっていくことでしょう。注目すべきなのは、今回の発表で今年がほぼ終わったということではなく、会計年度の残りの4分の1については残っているわけで、ルミナーのアナウンスでは今年度の受注の達成に向かって引き続き順調に進んでいる、と発表されていることです。つまり、勝負がついたわけではなく既に発表された顧客への販売数が伸びるかもしれないし、そうでなくまだ未発表の顧客に対しても受注実績が獲得できる可能性が残されている(どういった内容の契約が間近なのかは全く不明)ことになります。ただし仮に新たに受注したとしても車両に搭載して販売されるのはおそらく2023年以降で売上に反映されるまでに1~2年程度の時間が必要です。

Q4へ向けたおなじみの動画

四半期実績の報告を行うたびにYouTube公式でリリースされる動画を見てみました。今回は製造の中心となって活躍する2名の女性を取材した形式になっています。すごく重要な人物による重要な内容なんですがちょっと地味。

今回取り上げられたのはこちらの2名の女性

左の女性はつい先日PACCARから移籍して話題になったDebra(Debbie) Poppas。トラックメーカーのPACCARでグローバル品質担当副社長を務めた後ルミナーに移籍、前職と同じく品質担当VPを務めています。右の方は以前のTRWオートモーティブ・ホールディングス、現在のZFで購買部長を務めたCheryl Zula。TRWは2015年にZFから買収され消滅し、現在はアクティブ&パッシブセーフティーを担当する部門として存続しています。

この動画のインタビュー内容を文章に起こしましたのでご覧ください。ここストクロでしか読めません(たぶん)。短期投資をされている方には全く関係ない内容ですのでどうぞ飛ばしてください。中長期で投資をされているかそうしたいと思っておられる方は読んでおかれていいと思います。

Debbie Poppas VP, Quality

Debbie Poppas

(自律運転技術を)あらゆる交通機関で誰もが利用できるようにするという挑戦は、自分が携わるべき素晴らしいミッションだと思っています。

わたしはこれまでずっと自動車業界に身を置いてきましたが、パッシブセーフティから現在のプロアクティブセーフティ、そして最終的に自律型へと進化していく過程に参加してきました。

現在求められる複雑さは30年前よりもさらに大きくなっています。なぜなら、すべてのシステムを制御するあらゆるアルゴリズムが相互に作用しているからです。この10年間、非常にスマートで知的な人々がこのテクノロジーを実現するために働いてきましたが、彼らは事故を防ぎ人命を救い、自律性の可能性を高めるというミッションを製品によって成功させるためには、エラーの余地がない完璧なものでなければならないことを理解してきました。

Christoph Schroeder VP, Software

実は1年以上前から、IETF認証に取り組んでいます。これは自動車業界における普遍的な基準であり、ドキュメントの完成度から言えば現在約80%まで進んでいて、2022年には登録機関による初の外部監査を受けることを目指しています。

この仕事はお客様の満足度を高め、ビジネスや業績に影響を与える非常にエキサイティングな旅、と言えるでしょう。

Cheryl Zula VP, Supply Chain

Cheryl Zula

このテクノロジーの開発を始めた時、誰もここまで業界で評価されることになるとは予想していなかったはずです。サプライヤーの皆さんはわたしたちがおこなってきた活動を見て、ルミナーが最も生産に近づいている存在であることを理解してくださっていると思います。(※Irisの量産化の進捗についてはこのコメントでじゅうぶんでしょう)

ルミナーは2017年にブラックフォレストエンジニアリング社を買収し、また最近ではオプトグレーション社も買収しました。そしてこの技術を社内に吸収することで部品やデザイン面を機能的に垂直統合でき、極めて高い競争力を持つことになりました。

社名はコロラドスプリングス・ブラックフォレストの南側にあるからだそう

→Black forest engineering

ボストンのOptgration買収で生産能力が大幅に向上

→Optogration

また、ビジネスの規模が大きくなればなるほどさらにチャンスは広がります。わたしたちはサプライチェーンを最適化するために、技術力、製造拠点、世界各地のロケーションなどを検討してサプライヤーを選んできました。そしてボルボのプロジェクトでは他の車両プラットフォームや他の顧客にも流用できる標準化プロセスをようやく実現する運びとなりました。

これにより、相当大きなスケールで設計を最適化し、コストや性能、利益までも最大化することで競争力を高めることができています。ルミナーの設計の主な特徴のひとつとして、この技術で市場をリードし、業界をリードするコンポーネントを作り上げることができるというものがあります。現時点でルミナーは独自の技術をコントロールしている点でアドバンテージを持っています。(※筆者注:前からルミナーが主張しているようにLiDARメーカーの多くは一種の組み立て屋でフルスタックの製品・サービスを自前で作ってはいないということを念頭に置いてこう述べているようです)コスト構造やコスト計画についても完全に統合されています。そして今後スケールメリットをどのように実現するかについてもじゅうぶんコントロールすることができます。

最後に再びDebbie Poppasへ

サプライチェーンを確保するために主要なパートナーと協力して100%必要数を供給できる体制が実現しており、2022年そして2023年(の大規模生産)に向けてさらに増産体制を整えるための活動や戦略立案にも取り組んでいます。

ルミナー製品をベースにすればどのような車両でも同じように性能を発揮できるようになったのは技術の進歩であり信じられないほどの偉業です。そしてこれを成し遂げることこそがわたしがここにいる主な理由なのです。

この2人のインタビューをご覧になってどう思われますか?過去の実績もある経験豊かなプロフェッショナルで、ルミナー・テクノロジーズで達成するべきミッションを完璧に理解していると感じないでしょうか。本当に優秀なスタッフをよくここまで揃えられたと思います。

補足として、ルミナーのボルボ向けSentinelソリューションは既にアルファ版が完成しており、来年1月にCESで発表されるようです。

とまあ簡単に振り返ったわけですが、とはいえあまり話題性のなかった今回の発表。またしばらくは苦戦してジリジリ下げることになるかもしれませんね。

One thought on “ルミナーのQ3、インパクトはなかったが・・・”
  1. […] NVIDIAとの強力なパートナーシップで話題を集め、当日のプレマーケット(だけ)で異常なほど大きく上昇の兆しを見せた$LAZRでしたが、決算発表後に「この内容だとまた株価は苦戦するかも」と書いていた通りで下落は止まることなくついに14ドル台に逆戻り。こういうことが続くうちに高値で買っている個人投資家はしびれを切らして損切りというパターンが見えてきますが、どうもSNS界隈のコメントを読む限り長期の含み損にも負けないほど相当期待が高まっているようですね。ちょっと驚きです。 […]

LAZRは再び$14台、年安へ - 米国株情報 - Stock Crawler へ返信する コメントをキャンセル

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