ハイテク株が下落する中でもポートフォリオ全体でそこそこの利益を出している状況ではありますが、そんな中でも絶対的不安定さが際立つLAZR株。先日「ようやくなんとかなりそうかな」と書いた途端含み損が大きく拡大していたので朝起きて株価を見て思わず苦笑しました。ここの場合チャートを分析してもあまり意味はないとわかってはいても短期・中期・長期とそれぞれの目線でチャートを眺めることぐらいはあるわけですが、ここからひと踏ん張りでかたちがよくなりそうという絶妙な局面でことごとく厳しい下落を記録してきた不思議銘柄でもあります。

これは何度も繰り返し書いていることですが、いくら10倍の上昇も狙える将来性を長期的に買っているんだとわかってはいても、含み損が膨らむと誰でも不安にかられます。「絶対いい会社だと思ってはいたけどさすがに信じていいのか不安だ」「こんな株に手を出してしまってお金が目減りしている、下手に買うんじゃなかった」「下がり続けることでイライラが募っており、損切りしてでも気持ちを整理したい」こんな気分で毎日憂鬱な方も多いのではないでしょうか。

そんなあなたに、基本に帰ってルミナー・テクノロジーズがなぜすごいと言えるのかをもう一度微妙に難しく(?)解説してみたいと思います。

InvestorPlaceのFireside chatより

Fireside chat=InvestorPlaceのアナリストとルミナーのDr.Matt Weedによるオンラインのトークイベントですが、一般投資家には非常に難しいながらとても有益と思われる解説があったためかなり省略・意訳を施してお伝えしてみたいと思います。わかりやすく書いても難しいので技術的な部分に一切興味ないよという方はご覧にならなくていいかもしれませんが、なんとなく頭の片隅に置いといて損はない内容です。なぜ?真実を知ることはお金を無駄にしないために必要だからです。オリジナルの記事はこちらですがエンジニアリングをある程度理解した方でない限りかなり難解な内容です。

Fireside Chat: The Commercial Future of Lidar is Vehicle Safety — For Now

トークイベントでみんなが気になる質問に回答

Dr. Matt Weed

マット・ウィード氏は医療用ドラッグデリバリーのサプライチェーン開発や光学センシング技術の開発などの経験を経て、現在はルミナー・テクノロジーズでプロダクト担当シニアディレクターを務めており、かなり広い範囲でルミナーの開発を担いつつ人材発掘や企業買収の評価など戦略的実務にも参加しているプロフェッショナルです。

製品担当シニアディレクターのマット・ウィード氏(Tシャツほしいです)

マット・ウィード氏を招いての対談によるこの記事では、InvestorPlaceのアナリストである筆者のジョアンナ・マクリスが前段として次のような事実に触れています。

「安全性の向上を図るために最近の自動車の多くにはAEB(緊急時自動ブレーキ)やレーンキーピング機能が搭載され、カメラやレーダーなどのセンサーを使用しています。しかし、それ以上に安全性を向上させるための最新テクノロジーがLiDAR(Light Imaging Detection and Ranging)で、LiDARセンサーは車の周囲の3Dマップを作成するのを支援し、将来的には「クラッシュしない」車両を生み出す可能性さえあります。ただし、LiDARを搭載した自動車は非常に高価で非現実的なテクノロジーだと考える向きもあります。

様々な技術的アプローチを持つLiDAR企業が上場していますがどの企業も株価は下落しており、最も評価されていると言われるルミナーでさえ年初来で約44%※下がっています。」

※9月24日の終値ベース。本日時点では50%以上減少。

テスラの車両を使った”挑発的動画”について

テスラをおちょくっているようにしか思えなかった動画についてこちらの記事でも「挑発的な動画」という表現を使っており、ルミナーのアピールは多くの人にとってなかなか過激に映ったようですね。ここからはマット・ウィード氏の説明です。

テスラにとっては確かに挑発的な内容だった

“LuminarのLiDARを搭載したテストカーは市場に出ている他のほとんどの車よりはるかに高速でAEBが作動していました。そして一例としてテスラも登場しています。テスラはマーケットリーダーではありますが、LiDARが実現したようなレベルには達していません。

2019年4月22日、TESLA AUTONOMY DAYにて

カメラの情報は2次元で、物体までの距離がどの程度離れているかを撮影したイメージに基づき様々な処理を実行することで「推測」はできますがあくまでも2Dのデータに過ぎません。わたしたちの住んでいる世界は3Dなのにカメラは2Dでしか情報を捉えておらず、そこに制約があるのです。

レーダーは多くの情報を収集しますがある物体が何かを判定することはできず、そしてこれもやはり2Dデータです。

LiDARが行うことはそのギャップを埋めるようなものです。3Dでデータを収集するLiDARによりカメラは物体のサイズと構造だけでなく、オブジェクトまでどれだけ離れているかについて詳細に分析することができます。LiDARは、レーザーのようにオブジェクトまでの距離を測定できるテクノロジーでありながらカメラのような高解像度でデータを収集しているのです。”

「カメラだけでいいかどうか」が重要なのではない

“重要なことは、カメラだけで自動運転が安全に実行できるかどうかではなく、LiDARによってそれがより安全なものになるかどうかということです。わたしたちはそのこと(LiDARにより安全性が高まること)を本当に信じており、それ(カメラにLiDARを付加した運用が促進されること)が最終的な目標です。”

ルミナーは安全性について一貫した姿勢を示す

コストの問題については?

“ルミナー製品は他社よりも長い波長(1550ナノメートル)を採用しているため、より安全により大きなエネルギーで送信できます。一方、短い波長は可視光にはるかに近く、目に損傷をもたらす危険性が高いのです。またルミナーは長い波長と赤外線を併用することによって高解像度の測定を可能にしました。

ルミナーが採用した1550ナノメートルの波長を実現するコンポーネントはあまりにも高くつくと批判する声もありますが、それは多くのLiDAR関連企業が光学の専門家ではなく、しかも手軽には入手できない1550ナノメートルの出力を可能にする部品をいわゆる部品屋から仕入れ、集めたものを組み立ててLiDARなるものを製造しているからです。

わたしたちは市場に打って出るために長い波長を扱う必要があることを知っていたので、そのテクノロジーを自前で統合できるよう非常に早い段階で投資を実行してきました。ルミナーはサプライチェーンとアーキテクチャ(基本設計というべきか)を集約することで競争力のある安価なコストと性能を実現しているのです。”

競合他社を大きくリードしている

“競合他社はセンサーを組み合わせてルミナーに勝つ方法を見つけようとしていますが、わたしたちはすでにそこから2歩リードしています。ルミナーが証明したように(Proactive Safetyのデモで)、ルミナー製品を搭載した車両は子供のダミー人形が隠れている車両の前方で、車両の後ろ側から子供が飛び出してくるのを検出できます。時速30マイルで走行中、25メートル離れた位置から子供を特定し、現実の脅威として評価し、ブレーキをかけ車を止めることができるのです。 “

Luminar is KING OF LIDAR

とまあだいたいこのような内容でした。意訳の部分は意図的に改変しているというより言及されていないバックグラウンドを付加して書いていると思ってください。

ところで、この記事が掲載されたInvestorPlaceはルミナーについて再三評価しており、数ヶ月前にアップされたYouTube動画ではマーケットアナリストのLuke LangoがLiDAR専業としてはルミナーが世界最高の企業、KING OF LIDARとさえ述べています。

画像はInvestorPlaceのLAZR解説動画より

英語を聞き取らなくても面白い内容

損切りしてでも楽になりたい、イライラをなくしたいと思う気持ちはわかりますが、そんな当たり前の感情をどうにかできないのに億万長者になりたいとか、巨額の富を築きたいとか、そんな夢のまた夢の妄想を続けても仕方ないじゃありませんか。わたしも含めて半端ない含み損を抱えていても目線を遠くにおいて運用を続ける個人投資家は他にもたくさんいます。事実、インサイダーである取締役のMatthew Simonciniが22ドルで買った22,727株は投資額の50万ドルから35万ドルに目減りしており、日本円にして1600万円以上の含み損となっています。彼は含み損の大きさに仕事に手がつかないほど憂いて毎日株価を眺めているのでしょうか?

ルミナーが始まるのは2022年からですので少なくとも向こう1年間のイベントをじっくり見守りましょう。戦略は昼間に練っておき、信じて買ったら夜中に株価を追いかけて一喜一憂せず、とにかく夜はぐっすり寝ましょう。※長期投資の場合に限る

最後におまけ。

シリコンバレーで撮影されたHydra搭載のテスラ

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