2022年リリースのボルボXC90新型モデルからルミナーのLiDARが標準装備されることになったというニュースは予想以上に株式市場を賑わせました。前にこの記事でも書いていたので今頃、という話題ではあるのですがついに公式発表の運びとなりましたね。昨日のプレマーケットで「今日は全体的に動きそう」とは思ったのですがすぐ忘れてしまい、夜中12時頃に何気なくマーケットを見てポートフォリオの全株が急上昇していたのに驚き、次にポートフォリオの含み益に驚き、そしてLAZRの急騰に喜んだ一夜となりました。とはいえ一時12パーセントを超えた高騰も朝には落ち着きを取り戻し、そこそこ常識的な範囲に収束しています。

ルミナーの上昇はかなりうれしいニュースですが、冷静に考えるまでもなくビッグニュースでルミナー株が上がった、だから単純に大儲けが近いとはいかないと思います。XC90への搭載自体は元から決まっていましたし、現在のファンダメンタルズで考えれば株価はこれでも強含みで、さらなる急激な上昇は非常に投機的でリスクを孕んでいます。たとえばわたしが16ドル台で買ったロットは2ヶ月ちょっとで既に50パーセント近く含み益が出ています。チャート上もしばらくは23~24ドルあたりをキープできれば長期的な上昇の底固めとしてはじゅうぶんでしょう。当面ダラダラ下げ続けてきたので次のチャートのようにここから下抜けしたら厄介だなと気にはなっていましたがひとまず上方向へ一旦抜け出しました。

重要な分岐点となるか

XC90標準装備が意味するもの

次世代でEVとなるフラッグシップモデルXC90でルミナーのLiDARが標準装備となる、これは素晴らしいニュースに間違いありませんが、では今後具体的にどのような影響が及ぶのでしょうか。これには大きく2点

  • 財務状況が読みやすくなる
  • ルミナーが目指す安全性にさらに注目が集まる

ということを意味します。当たり前すぎると思われるので具体的に書いてみますと、

XC90に搭載で収益性への影響は

どこを調べても詳しく書いていませんでしたし、オースティン・ラッセルは収益への影響についてのコメントを拒否したようなので独自に仮説を立ててみます。ルミナー・テクノロジーズが公表した2021年の売上目標は2500万~3000万ドルで、翌2022年の予想売上高は3500万ドルです。ボルボとの取引で収益が本格化するのは出荷が始まる2022年前半からです。2022年にルミナーが単純にボルボ向けLiDAR製品のIrisだけで売上を立て、単価がこれまでに明らかになっている1,000ドル/ユニット(これに関連する周辺システム、デバイス、サービスのコストは無視する)だとすると、3500万ドルの売上を計上するために必要なLiDARユニット、つまりXC90の販売台数は何台でしょうか?答えは3万5000台です。

では2022年にルミナー製品を搭載したボルボXC90はいったいどれぐらい売れるでしょうか?そのヒントはXC90のこれまでのセールス台数にあります。過去のXC90で好成績を収めた年を参考に、近年ヒットを続けるボルボのブランド力と先進技術の充実した超話題の新型モデルだということを考えて計算すると、発売後の1年間の販売台数は

  • 北米とカナダで40,000~45,000台
  • ヨーロッパで35,000~40,000台
  • その他の国や地域で10,000~15,000台

という水準になります(2020年は約92,000台)。アメリカ、カナダ、ヨーロッパだけで年間80,000台の販売実績を叩き出すことはじゅうぶんに考えられますが、ルミナーの出荷が2022年のいつごろスタートするのか、XC90がいつごろ車両の製造を開始するかなど1年のどこが起点になるかは不明です。過去の新型XC90は1月、8月、9月など様々な時期に発売開始されていることを考えると2022年にどれほどのLiDARシステムを出荷できるかはなんとも言えません。しかしたとえば9月発売開始としても2Qまでにルミナーの製品ユニットは量産準備が整ってくるでしょうし、予約販売で大きく数字を伸ばせば受注も一気に増えるでしょう。年間販売台数の半分近く、4万台の受注を確保したとすれば単純計算でルミナーの売上高はそれだけで4000万ドルに達し、この時点で株価も大きく跳ね上がるはずです。とりわけ、次のXC90はボルボの歴史上最も画期的で先進的なシステムを搭載する予定なのですから、ここ数年好セールスを叩き出しIPOを狙うボルボ・カーズがそこそこの数字で満足するはずはありません。

Volvoのセンシングテクノロジー(たぶん見ても誰もわからない)

なにより、1車種で90,000台以上、LiDARの売上が9000万ドルに達する可能性があるということは、今後車種が拡大し、採用メーカーが増えれば収益がどれほど大きく拡大するのか楽しみでしかありませんね。

やはりオースティン・ラッセルはすごかった

わたしが非常に感銘を受けたのは、ボルボ製品への採用に関するオースティン・ラッセルのコメントの中で「これは業界における分岐点です。(通常、)エアバッグやシートベルトのオプションパッケージはありませんよね、なぜ命を救う技術のオプションパッケージが必要なのでしょうか」という言葉です。

オースティン・ラッセルは、どのLiDAR製品が競争に勝つかということよりも、車社会における安全性を高めるためにLiDARが必要であるということに注意を向けてきました。そして安全性のためには自社のLiDARが必ず必要だという自信を明確にアピールしています。

今回の発表においてボルボ、ルミナーの両社は

  • ボルボ、ルミナー・テクノロジーズは安全を最優先した製品開発を行っている
  • 安全性を向上させるために必要なシステムを使う、使わないという選択肢は設けるべきでない
  • 命を救うためにLiDARが採用されるのだ

という姿勢を全世界にアピールしました。今年中にXPEVが自動運転機能搭載車両を発表すると言われるなど競争は引き続き激化していますが、今の所ボルボ、ルミナー陣営がかなり大きなリードをとったことは間違いないでしょう。そして競争の最前線に飛び込んだボルボは、おそらく次に発表される新型車両にもLiDAR製品を採用するに違いありません。ボルボとのパートナーシップはルミナーにとって極めて大きなロケット打ち上げになりそうです。

5 thoughts on “ルミナー、ついにはじまった?”
  1. こんばんは。
    今回の記事も非常に勉強になりました。売上に関するところで気になったので今後の記事で紹介いただけると幸いです。
    ルミナーの売上は今のところ(今後)ボルボ以外ではどのような構成になっているのでしょうか。トヨタとも提携していると思いますが、実際の車両に搭載されていますか?また、ルミナーのライダーは自社生産ですか。何かの記事でアップルのように委託しているというのを見ました。
    今後の動向がますます楽しみになってきましたね。様子を見て買い増しガチホで行きたいと思います!

    1. ハドウさん、ありがとうございます。とても励みになります。ボルボ以外で現状製品レベルの出荷がどのようなスケジュールになっているかは把握していませんのでなんとも言えないですね、ルミナーはつい先日コンセプトイメージを用意してこんな風に自社製品を市販レベルで実装できますよというのをアピールしたところですし現実的に様々なメーカーが検討しているとは思います。

      製造はセレスティカとファブリネットが担当します。
      https://is.gd/q38y1F

      わたしもまだまだガチホでいきますよ、数年後を楽しみにしたいです。

      1. そうなんですね。ありがとうございます。近い将来、自分の車にもルミナーのライダーが搭載される日が来るかもですね!

  2. […] 補足として、ルミナーは開示資料の中で「2021年末までにSentinelソリューションのα版をリリースする」としていますが、そうなるとβリリースは来年夏~秋頃となり、ボルボXC90発売後はβサービスから始まってOTAでβが外れるのだろうか、と思いました。以前ボルボとの契約発表後に書いた記事では2022年の売上にどう影響するだろうというシミュレーションをしていますがボルボの売上は思っていたより来年の後半に集中するようにも思えます。 […]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です