日本のヤフーファイナンスに登録したわたしの現時点でのポートフォリオ名は次のような感じです。

  • 米国株
  • 2021日本株
  • 2020日本株
  • 2019日本株
  • 日本株検討中
  • 米国株検討中

2018年以前の日本株はどうなっているかというと全部売却してしまったのでありません。また2019年の日本株も7銘柄全てで大きな含み益が出ているのでそろそろお別れの時期が来たようです。

さて前置きが長くなりましたが、ポートフォリオの米国株検討中にはいろんな企業がごちゃごちゃに入っていて、ずっと買いたくて買いそびれたボーイング、GE、NVIDIA、PAYPAL他ハイテクからなにからいろんな銘柄がある中LiDAR関連企業もいくつか含まれており、その中のひとつにLiDARビジネスのパイオニアとも言われるVLDRベロダインライダーがあります。

ベロダインライダー創業者

ベロダインの創業者デビッド・ホールはLiDARの先駆者として知られていますが、実は元々オーディオメーカーのエンジニアで経営者でした。1983年に高周波運動フィードバックを備えたスピーカーの特許を取得、画期的なサブウーファーシステムが話題となり従業員60人、売上は数百万ドルに達します。

ところがスピーカーの製作に飽きたホールは2000年代に入りロボットの開発に熱を上げ始め、人気テレビシリーズのロボットウォーズに向けて最強のロボットを目指し挑戦。デビッド・ホールとブルース・ホールの兄弟が製作したドリルジラというロボットはライバルチームにはない高速走行を活かし2年連続決勝進出、思わぬ世界で話題を集めました。ただ若干レギュレーションを回避したメカニズムだったためドリルジラのやり方は翌年から禁止され、他の競技者からも結構嫌われていたようですね。たぶん誰も興味ないと思いますがデビッド・ホールの作ったドリルジラの詳細についてはこちらからご覧いただけます→ロボットウォーズWiki

LiDARとの出会い

2004年にDARPAが開催した自動運転のコンテストでデビッド・ホールはLiDARテクノロジーと運命的な出会いを果たします。ステレオカメラで挑んだ彼の自動運転車は100万ドルの優勝賞金を手にすることはできませんでしたが、他の出場者の中には当時まだ広く知られていなかったLiDARセンサーを搭載した車両を持ち込んだものが何人もいました。自動運転の鍵がLiDARにあることに目をつけたホールは早速数ヶ月後から開発に着手します。以降、市場がLiDARに注目し始めた2010年以降VelodyneのLiDARビジネスは加速し、百度フォードから1億5000万ドルもの資金を引き出すことに成功、キャタピラーWaymoGMトヨタなどに製品の供給を行うまでになりました。意外なことにニコンも今から3年前に2500万ドルの戦略的投資を実行しています。製品ポートフォリオが広がり売上規模は数億ドル、従業員も増えて2020年にはナスダック市場へ上場、ベロダインのLiDARビジネスに明るい未来が見えてきました・・あの頃は。

Velodyneの先行きに暗雲が

ところが、です。ここ数ヶ月のVelodyneはとにかく訴訟に関わるニュースばかりが目立ち、印象がかなり悪化しています。そもそも2020年12月に取締役会により創業者であるデビッド・ホール氏と彼の妻に対する調査が進められてから事実上経営陣から締め出されてしまっており(CEOは2020年に辞任して会長職に就いていた)、進行する訴訟が株主からVelodyneの責任問題を追求する集団訴訟と、デビッド・ホールがVelodyneに対して株主として取締役2名の解任と自らが推薦する人物を取締役に入れることを求める訴訟、というややこしい事態になっています。

とにかく新規のニュース、掲示板での株主の反応が訴訟に対する印象の悪さで埋め尽くされており、せっかく安くなってお手頃感が出ているはずのVLDR株に手を出そうという投資家の意欲を大きく損なっているようです。実際わたしもそのひとりなのですが。

もう少し深く掘り下げないとなんとも言えないところではありますが、わたしがベロダインについて何十もの資料を長い時間かけて読んだ結果明確に感じ取っているのは、デビッド・ホール氏は開発者・技術者としてとても優秀であるのに対し、経営者としての能力はそれほどでもなかったのではないかということです。株式市場では当然ながら経営者の人物像に対してもプレミアムが加算されます。テスラのイーロン・マスク、アマゾンのジェフ・ベゾス、ベロダインにはデビッド・ホールだったわけです(少し格が違うにしても)。

ここで現経営陣と訴訟で対立してしまった以上、現在も過半数の株式を保有する大株主で会社の象徴でもあったデビッド・ホールがどのようにベロダインと関わり、技術者としての才能やカリスマ創業者としての方向性を見出していくのか、大変心配ではありますが興味は尽きません。残念ながら今のインド人CEOアナンド・ゴパランには筋金入りのワイン好きであること以外に共感や期待、カリスマ性はあまり感じられないんですよね。

こうやって書いてみるとまるでベロダインがヤバい企業のように感じられるかもしれませんが、ここまでのことは事実として受け止めて、今後の未来に投資できるかどうかを検討するべきではないでしょうか。幸いにも株価は最安値圏にあり急いで買わなくてもじっくり考える時間はありますし、また現在ホルダーになっている方はルミナーのようなライバル企業に対してある意味既に結果を出しているベロダインのさらなる成長を願って保有株をホールドし続けるメリットはあると思います。この段階で損切りする意味はあまりないと思いますしイラつく気持ちさえ消化できれば放置するだけでいいのですから。

ベロダインライダーについては訴訟の行方も気にしつつ、明るい未来について続編を書いていくつもりです。リクエストをくださったハドウさんには感謝です。

→ベロダインライダー(英語)

追記:保有していない企業の情報を調べるモチベーションは厳しいので6月1日に$9.9で少し買ってみました。6月4日時点の損益はほぼ誤差範囲の+1.82%となっています。とりあえず3年ほど放置してみようと思います。

2 thoughts on “揺れ動くLiDARのパイオニア、ベロダイン”
  1. ベロダインの記事ありがとうございました!
    ホルダーとしても大変興味深く読ませてもらいました。
    ベロダインのホームページを見てると結構いい感じのニュースがアップされているので、今後に期待して粘り強くホールドしたいと思います。
    続編も期待してますので、是非ともよろしくお願いします!

    1. ありがとうございます、昨日調べついでにVLDR株打診買いしてみました。実績のある会社ですので長い目で見守っていきたいと思います。一緒にLiDARで一山当てましょう!

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